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愛しいひと… 24
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「っ、はっ……」
一気に突き込まれた獣魔羅が、S字の括れの縁にガツンとあたる。
衝撃に仰け反り、新たな涙を溢れさせるアキラ。
「あ……あっ……あぁ……っ」
唇をわななかせ、喘ぐ。
「いた……い……よ……ォ……」
半分ほどしか収めきれていない鬣犬は両手を掴んだまま、もう一方の手で細腰を引き寄せ抽挿する。
ゆっくり、ゆっくりと腰を前後させ、回す。
ガツガツと思い切り突き込みたい欲求に駆られるが、そんなことをしたら今度こそ “ 毀れる ”だろう。
やっと自由になった手で押し退けようと抗うが、獣魔羅をさらに強く押しつけられて、動きが止まった。
カタカタと震える華奢な肩は痩せたからだろう……少し骨張っている。
「姫君……ああ……姫君……!」
鬣犬とて、アキラを苦しめたい訳ではない。
緩々と小刻みに動きながら、窮屈そうに身体を折って頬ずりしてやる。
アキラの、辛そうに喘ぐさまに心痛めながらも繋がりを解く気は無い。
鬣犬は自分でもよくわからない衝動……アキラを求め、その内胎を求める……に、ある種の戸惑いを感じながらも、理性など簡単に奪ってしまう、つき動かされるような欲求にその身を任せた。
こみあがる想い……湧き上がる肉欲。
忘我の淵に沈み込み、最早獣の欲求のみにつき動かされる鬣犬は、心の奥底に僅かに残った真心……すなわち【天女への愛】にほんの少しの光明を残して、酷い抱き方はしなかった。
だが、アキラにとっては……
「やめて……やめて……いたいよ……やめてぇ……」
確かに、一度抜けそうになるまで引いて、一気に突き込むような、そんな激しい抽挿はない。
ただ、恐怖と苦痛に竦みあがった身体はもう雄を受け入れられなくて、獣魔羅をぎっちり咥え込んでしまっている隘路も恐慌を来たすのみ。
鬣犬に両肩を押さえつけられ、身動きのとれないアキラは絶望のあまり声をあげて泣き出した。
「も……やだ……おねが……ぃ」
何とか差し伸べた右手で頬にふれる。
鬣犬はまた身体を折って顔を近づけてきた。
「姫君……」
アキラは鬣犬の首に腕を絡め、その唇を鼻先に寄せる。
下顎の口蓋にそって啄ばんでいくと鬣犬の身体が硬直し、獣魔羅はさらに膨らむ。
鬣犬の、口蓋からはみ出た舌に己のそれを沿わせた。
天女の気まぐれか、それとも気の迷いか。
自らの意思で与えた口づけは鬣犬に、身を焦がすような想いを植えつけた。
唇を合わす事の叶わないこの身……
鬣犬は今ほどヒトガタをとりたいと……
ヒトの姿で抱き合いたいと熱望した事はなかった。
その頃……
クシュではケプリが蟷螂を肩に乗せて中洲に急いでいた。
「すまない……鰐王殿への報告が済んだらすぐに治療してやるからな。
もう少し辛抱してくれ」
『王、私は大丈夫です。
それよりも、一刻も早く天女様を……』
アキラ行方不明の報せはさざ波のように波紋を広げていた。
丁度、容態が安定していた時期で、様子見していた遠方に住む夫たちは領地に戻っているものが大半で、それぞれに鷹が放たれた。
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