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「すまない。待たせ――なぜそんなに汚くなっている」
「えっ?」
ようやく来た有坂にキョトンと首を傾げる。
そう言われて見てみれば、いつの間にかお菓子のゴミやさっきハルヤンと宝探しという名のエロ本探ししたせいで色んなものが部屋に散らばっている。
ベッドも有坂の匂いに浮かれてゴロゴロしまくってたせいでぐしゃぐしゃだ。
ハルヤンは有坂が来る少し前に帰っていったが、いつのまにこんな事になったんだ。
「は、ハルヤンが散らかしたっ」
「春屋もここにいたのか?」
有坂の視線がどことなく鋭くなって、ギクリとする。
慌てて視線を逸らすと、有坂は一つため息を吐いた。
それから落ちているお菓子のゴミを拾い上げる。
「…まあいい。俺の部屋は結城の遊べる物は何もないだろう」
「うん。何もなかった。でもいいんだ」
有坂の部屋に来れたことが嬉しい。
ふふ、と笑顔を見せてそう言うと、鋭く向けられていた視線が優しくなる。
それから有坂が飲み物を持ってきてくれて、適当に散らばってたお菓子は小分けにしてお皿に盛り付ける。
食べない分はしっかりと封を閉じて、俺とハルヤンが乱した部屋も片付け始める。
まだかまだかとウズウズしながら待ってたら、ようやく俺のところに来た。
掃除の邪魔にならないようにベッドの縁に座っていたが、その俺の隣に有坂は腰を下ろす。
すぐに乗り出すようにその顔を覗き込んだ。
「なあ、有坂って読書が好きなのか?」
「そうだ」
「野球の本より弓道の本が多いけど、そっちのほうが好きなのか?漫画は読まないのか?一番面白い本は何?エロ本どこに隠したんだ?」
やばい、心臓がドキドキする。
有坂が隣りにいるだけで、もうめちゃくちゃ楽しい。
やっと二人の時間が取れた。
黒い瞳がようやく俺だけを見てくれていて、それだけでテンションが上がる。
どうしようもなくじっとしてられない気持ちになる。
ずっと有坂とゆっくり出来る時間が欲しかった。
送ってくれたりもしたけど、そんなのじゃ全然足りない。
興奮したまま捲し立てていると、不意に有坂の手が俺の頬を撫でた。
それからじっと瞳を覗き込まれる。
「顔が赤いな。少し部屋が暑いか?」
安定の俺の質問に何一つ返さない有坂は、そう言って俺から視線を外す。
窓の方に視線を向けたから、慌ててその服を引っ張った。
俺だけ見て欲しい。
もう余所見しないで、どこにも行かないで欲しい。
「へ、平気。暑くない」
「また熱があるんじゃないだろうな。結城ははしゃぎすぎると熱を出すだろう」
「ちょ、子供かよっ」
「夏休みの時に高熱を出して倒れたのは忘れられない」
そう言って有坂は確かめるように俺の額に手を当てる。
有坂に触れられると気持ちがいい。
心臓がどうしようもなく速くなって、頭がふわりと浮きあがる。
トロンとした、夢の中にいるような気持ちになる。
――この気持ちがきっと友達に持つものだけじゃないことは、もう分かってる。
有坂に触れられるたびに、もしかしたらそうなのかもしれないって思ってた。
ハルヤンと話して、水瀬と遊んで、朝宮さんにムカついて、だけどその誰とも一緒じゃない気持ちが有坂にはある。
ちょっとだって離れたくないし、たくさん触って欲しいし、俺だけを見て欲しい。
どうしようもない独占欲でいっぱいになって、だけど一緒にいると頭が熱くて何も考えられなくなる。
「…有坂、可愛がって」
その服を引いて、顔を見上げる。
俺の言葉に有坂が一瞬身体を強張らせたが、すぐに伸びてきた手が俺の身体を抱き締めた。
力強い腕の感触に、高熱に浮かされた時みたいに頭の中がぼーっと霞む。
落ちてきた唇が、急くように俺の額や髪に触れる。
柔らかくて暖かい感触が肌に触れる度に心臓が跳ねて、縋り付くように有坂の背に自分も手を伸ばす。
「――っ結城」
不意に乱暴に名前を呼ばれて、力強い腕に身体を押し倒された。
ベッドだったから衝撃はなかったが、見上げた有坂の視線はもう酷く求めるように俺を見下ろしている。
どことなく苦しそうにその肩は上下していて、それでもまだ堪えるようにその表情は歪む。
友達がいい。
俺はずっと友達が欲しくて、有坂はやっと出来た友達で、親友なんだ。
この関係はたぶん絶対にヤバくて、初めて出来た大事な親友が俺のせいでおかしくなってしまうのは嫌だ。
だけど有坂と一緒にいる度に、自分でも知らなかった気持ちをたくさん覚えてしまう。
どうしようもなく触れたくなって、無意識にその服を引っ張る。
いつのまにか自然と俺も息が上がっていて、焼けそうな頭で求めるように有坂を見上げた。
「――すまない、もう耐えられない」
そう言って有坂は俺の唇に噛み付くようなキスを落とした。
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