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「…っもー、早く…っ」
我慢できない。
散々焦らされて堪らず有坂に腰を押し付けると、有坂が小さく笑う。
文句の一つも言ってやりたいが、でも今はそれどころじゃない。
ようやく伸びてきた手がズボンの上からその形をなぞる。
ヒクリと息を詰めると、布越しにゆるゆると刺激された。
やんわりとしたもどかしい刺激に、余計にジクジクと血が溜まっていく。
もう耐えられず有坂の手に自分のモノを擦り付けると、愛しむように頬にキスされた。
「お前は本当に可愛いな」
その言葉と同時に、有坂の手がズボンの中へと入り込んでくる。
「――っあ」
下着を潜り直にソレを握られて、待ち望んでいた刺激に高い声が上がる。
有坂の手は大きくて熱くて、簡単に握りこまれてしまう。
「…っん、もー…やばい」
「まだ触っただけだろう。もう少し堪えられないか」
俺だってこの歳だし、自分でそれなりにしたことはある。
だけど人から触られる感覚は強烈で、おまけに焦らされたせいもあって全然持たない。
緩く上下に揺さぶられただけで凄まじい快感が昇り詰めて、ギュっと有坂の服を掴んでしがみ付く。
応えるように有坂が俺の耳に口付けて、パクリと食まれると脳が蕩けるような快感を生む。
――と、不意に腰に当たる硬い感触に気付く。
沸き立つようにカッと身体に血が上った。
有坂が俺と同じように興奮してることを知ったら、堪らなくなる。
「――っあ、出ちゃ…ぁあッ」
ぶるっと背筋が震える。
頭が真っ白になって、有坂の手の中にドクドクと勢いよく熱を吐き出してしまった。
有坂は俺がイク様子をがっつりガン見してから、息が整わないうちにまたキスをする。
唇を吸われて、舌を優しく食まれる。
ベッドで向かい合いながら長く濃厚なキスをされて、酷く気怠い感覚になりながらそれを受け入れる。
「結城、好きだ。…愛してる」
ちゅ、ちゅと何度もベッドの上で甘い口付けを繰り返しながら、有坂が俺に囁く。
もう有坂の事以外何も考えられなくて、ただされるがままに舌を差し出す。
とろりと目が落ちて意識がまどろんでいると、有坂が俺の瞳を覗き込んだ。
「眠いのか?」
「…うん」
ぼんやりとそう答えると、瞼に優しくキスをされる。
トクリと心臓が音を立てて、温かいお湯に浸るように意識が沈みこんでいく。
「おやすみ」
優しく囁いた有坂の声は堪らなく心地良くて、俺はそのまま眠りへと落ちて行った。
「――いやそれ、ありちゃん可哀想すぎない?」
「えっ」
「いやちんこガン勃ちで相手に寝落ちされるとか俺なら睡姦するレベルだけど」
「ええっ」
ハルヤンの言葉にギシリと固まる。
つーかハッキリちんこって言うな。
昼休みの食堂。
有坂が委員会の集まりで時間が取れないから、仕方なく屋上でぼっち飯をしようとしたところでハルヤンに捕まった。
ちなみに昨日の夜はそのまま爆睡して、起きたら有坂はいなくなってた。
親に聞いたらしっかり挨拶して帰って行ったって言ってて、部屋もめちゃくちゃ綺麗に整理整頓されてた。
今日も有坂の顔を見たらいつもより大好きになっててドキドキしたけど、でもフツーに会話もした。
特に可哀想な顔はしてなかったけど。
「あ、有坂はハルヤンとは違うんだよ」
「いやめちゃくちゃしたいでしょ。好きな子目の前にしておあずけ二度も食らってるからね?」
「で、でも…それは…」
言い淀んでしまう。
有坂の事を気遣う余裕なんかなくて全く思いつかなかったけど、でも言われてみればそうかもしれない。
よく考えてみれば有坂もめちゃくちゃガン勃ちしてたかもしれない。
「…まあマッスーはちょっと抜いてもらったくらいで最後までしたって大袈裟に言ってるくらいだからさ、ありちゃんもいきなり手は出せないと思ったんだろうけど」
「大袈裟って…ち、違うのかよ」
「自分だけしてハイ終わり、で最後までなわけないよね」
ズズッとイチゴ牛乳を飲みながらジト目でハルヤンが俺を見る。
言われてみれば、確かにそうかもしれない。
もちろん男女関係なら抜いて終わりとか思わないけど、でも男同士だからフツーに抜いたら終わりだと思ってた。
お互いがスッキリしてこそ最後までだったのか。
衝撃の事実だ。
俺はまだ大人になっていなかったらしい。
「まあ昼飯食ってんのにマッスーの性事情聞かされる俺が一番可哀想だけどね」
「はあ?ハルヤンのせいで雑誌に載せられて余計に注目浴びるようになった俺の方が絶対可哀想だっ」
負けじとそう言ってやる。
実際あの雑誌の件から余計に周りが鬱陶しくなったのは事実だ。
遊園地に行った時もそうだったけど、学校内どころか世間が沸き立ってる。
帰り道も気を抜くと後ろに行列が出来てる。
「はいはい、可哀想のマウント取りしなくていいから。ていうかマッスーさ、バイトしない?」
「えっ」
突然の誘いに目を瞬かせる。
が、一瞬で疑いの目を向ける。
「絶対それ怪しいやつだろ。詐欺師のバイトとか信用できねえ」
「ああ、この間みたいなことにはならないから大丈夫。つーかこの間の雑誌の件でちょっと面倒なことになっててさー」
どことなく煩わしそうな顔でハルヤンが頬杖を付く。
珍しい表情にキョトンとしたが、俺の様子に気付くとハルヤンはニッと笑顔を作った。
「俺も一緒にやるからさ。遅い時間になる前に帰すし、暇な日にちょっとやってくれる程度でいいから」
「ハルヤンと一緒にやんの?」
「そー。誰でも出来る簡単なお仕事」
相変わらず詐欺師みたいな笑顔で言われたが、まあ俺だけじゃなくハルヤンも一緒にやるなら怪しいわけじゃなさそうだ。
それに珍しくなんか困ってるっぽいし、少しは話を聞いてやることにした。
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