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仕方なく起き上がって家に電話する。
俺はいつも早く帰るしバイトや遅くなる時は必ず連絡するから、母さんは確かに心配していた。
つってもまだ晩飯時でそんなに遅い時間じゃないんだが。
過剰な心配で涙ぐんでる母親をうぜーなとあしらっていたら、有坂に代わってくれと言われる。
携帯を手渡したら、なんか二人でごちゃごちゃ長電話し始めた。
しばらく待ってみたが終わらない。
俺の前で俺以外と話すんじゃねえ。
頭に血が上ってしばらくイライラしながら見ていたが、不意に携帯を返される。
ぶっきらぼうに返事をして電話を切った。
「有坂、可愛がって」
ポイと携帯を投げ出してすぐに手を伸ばすと、ちゃんと抱きしめ返してくれる。
嬉しくてその胸に顔を埋めてしまう。
好きで堪らない。
今度こそと表情を緩めて甘えていたのに、有坂はそっと俺の身体を離す。
「可愛がりたいがそろそろ時間が終わってしまう」
「…え、なんの」
「食堂だ」
「は?」
確かに晩飯はまだだけど、今それかよ。
不満げに口を尖らせると、有坂はクスリと笑って見せる。
「結城を預かる以上は、規則正しい生活をさせなければならない義務がある」
「え、預かる?」
「電話を聞いていなかったのか。時間も遅いし今日は泊まらせるという話をした」
「――えっ」
マジかよ。
いつのまにそんな話になってたんだ。
全然聞いてなかった。
「勝手に決めてしまってすまない。だがさすがに今日は離れがたい」
そう言って有坂は俺の頬にキスをする。
ぶわっと顔に熱が上る。
なんだこれ、めちゃくちゃ幸せすぎる。
甘ったるい雰囲気が堪らなく心地良くてむず痒い。
二人で寮の食堂に行って夕飯を食べる。
本当は俺が食堂なんかより料理を作ってやりたいところだけど、時間的にまた今度だ。
「結城の母親に今日の件は伝えておいた」
「今日の件?」
パクリとハンバーグを頬張りながら聞き返す。
有坂は律義にも俺の雑誌の件やら車に乗せられそうになったことを親に話したらしい。
「えーっ、これ以上過保護になったらどーすんだよ」
「危ない目にあったんだ。こういうことはちゃんと知らせておいた方がいい」
きっちりしているところは本当に有坂らしい。
有坂の律儀さはどこまでいってもブレない。
「結城も春屋と仲直りできたんだな」
「え?…まあ、一応」
「そうか。ちゃんと誤解が解けて良かった」
有坂はそう言うけど、結局のところハルヤンが本当に考えてることは分からない。
俺を心配してくれたのか、それともやっぱり金づるだと思ってるだけなのか。
それとも両方か。
「…あれ、そういや有坂はなんでハルヤンの部屋に来たんだ?」
「春屋から結城と部屋で待っているという連絡があった」
「えっ」
マジかよいつの間に。
てことはハルヤンは有坂が来るのを分かってて俺を襲おうとしたってことかよ。
完全に俺をからかってただけじゃねーか。
悪趣味すぎる奴だが、それでも有坂を呼んでくれていた事は素直に嬉しい。
詐欺師野郎のくせに、なかなか気が利くじゃねーか。
「結城を助けてくれたこと、春屋には感謝してもしきれないな」
「別にしなくていいだろ」
頬杖つきながらそう言ってやる。
別に今回のことだって、元はといえば全部ハルヤンのせいみたいなもんだし。
だけどハルヤンとした有坂相談のおかげで、俺はちゃんと有坂に気持ちを伝えることが出来た。
有坂の気持ちも知ることができて、こうやって幸せな気持ちで今一緒に夕飯を食べてる。
「いい友人を持ったな」
有坂はそう言ったが、やっぱり有坂は分かってない。
アイツはすぐ俺で稼ぐし、俺を騙すし、面倒みてやるのは大変なんだ。
頬杖をつきながら、大きくため息を吐く。
「…まーな」
とはいえ俺の中でハルヤンの位置がちょっとだけ変わったのは事実だ。
夕飯を食べ終わって、二人で部屋に戻る。
さっきは玄関でチューされたしもしかしたらドア開けたらすぐされるかもとソワソワしまくってたけど、そんなこともなく平和に部屋に戻る。
でもさすがに部屋に入ったらチューされるかもとソワソワしたら、手際よくタオルやらTシャツやら新品の下着やらを手渡されて、風呂に入れと促された。
仕方なく言われた通り風呂に入って、でもさすがに出たらされるかもとドキドキしてたら交代のように有坂が風呂に入っていく。
出たらさすがに…と期待に胸を膨らませてたが、髪がまだ濡れてるだとか宿題のプリントをやれだとか母親にも言われたことない事を言われた。
もう一体いつするんだ。
「随分口数が少ないな」
「――えっ」
速攻で宿題を終わらせてまだやってる有坂を隣で頬杖付いてガン見してたら、不意に有坂が顔を上げる。
目が合ったら、カッと顔が熱くなった。
なぜか戸惑って視線を逸らすと、有坂は小さく喉を震わせる。
「お前が意識してくれていることが嬉しい」
有坂の言葉でじわりと耳まで熱が広がっていく。
意識してるなんてレベルじゃない。
もうずっと心臓がバクバクしてる。
有坂が気になってしょうがなくて、いつされるのかと思ったら心臓が張り裂けそうだ。
「そんなに身構えられると手を出しづらくはあるな」
「――はっ?き、緊張とかしてねーし…」
そう返した声が若干ひっくり返って余計に焦る。
有坂に触られることを待ち望んでいるはずなのに、心臓が全く落ち着かない。
必死に落ち着けと押さえ込んでも、全然治まらない。
宿題が終わったのか有坂がシャーペンを置いて、俺の頬に手を伸ばす。
熱い指先が頬に触れて、一際大きくバクリと心臓が跳ねた。
「だが今日は最後までする。どうか結城を抱かせてくれ」
その言葉と共に身体を引き寄せられた。
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