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----side有坂『愛しい人』
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すやすやと静かに寝息を立てる結城の髪を撫でる。
目に鮮やかな美しい黄金色の髪は、手に心地良い感触を残してさらりと絹糸のように落ちていく。
二度と泣かせないと決めていたのに、また泣かせてしまった。
言葉一つですぐに機嫌を直してくれたが、蒼い瞳が涙に濡れるのを見るのはこれで何度目だろう。
自分の不甲斐なさが嫌になるが、今はそれよりも身体が苦しい。
――正直、まだ身体は熱く昂ったままだ。
白濁に濡れたままの結城の身体は見るのも目に毒だが、さすがにこのままにしておくことは出来ない。
後処理をしてから気持ちを落ち着かせようとベッドから降りる。
「…ん、有坂」
不意に名前を呼ばれて緩く手を掴まれる。
起きたのかと思ったが、どうやら寝惚けているらしい。
愛しい寝顔につい手の甲を寄せると、無意識にすり寄ってくれる。
落ち着き始めていた熱が、ドクリと煽られてしまう。
本当はその身体を今すぐ奪い、思うまま自分勝手に抱き潰してしまいたい。
嫌だと泣き喚く唇を自分の唇で塞いで、自身を捻じ込み奥深くへと何度も穿ちたい。
そのまま結城の中で思う存分に熱を吐き出せたら――とそこまで考えて、ぐしゃりと髪を掻いた。
ようやく想いが通じ合えたのに、嫌がる結城にそんなことをして何になる。
俺を好きになってくれた結城の気持ちを踏みにじるような事はしたくない。
それに最後までするとは言ったが、正直結城がそこまで身体を許してくれるとも思っていなかった。
あれほどまでに嫌がられるとも思っていなかったが、大切に育てられてきたんだろう、結城は人一倍脆く痛みに弱い。
なるべく傷つけないようにと丁寧に解してはいたが、それでも目の前で淫らに揺れる蒼い瞳に煽られ、行為を急いてしまった事は否めない。
好きな者の全てを手に入れたいと思うのは男の性だが、ようやく通い合う事の出来た結城の心を失いたくはない。
寝ている結城に数度キスを落とし、そろりと透き通るような肌を撫でてはつい舌を這わせてしまう。
剥き出しの身体は酷く扇情的で、男の理性を惑わせる色香を放っている。
愛しい。
結城が愛しくて堪らない。
とても純粋で素直で、嘘を吐かない真っ直ぐな瞳を愛している。
可愛がって欲しいと、たくさん愛して欲しいと無邪気に俺を求める姿が可愛くて仕方ない。
俺と同じ気持ちだと泣きながら伝えてくれた言葉を、心の底から大切に思っている。
眩暈がするような愛しさに堪らず項をかぷりと甘噛みすると、結城がか細い声をあげて小さく身じろぐ。
頭の中で駄目だと思いながらも、その髪に鼻を摺り寄せ香りを堪能してしまう。
真っ白な鎖骨に薄く残る痕へと唇を寄せると、強く吸い上げて新たな痕を残す。
さすがに起こしてしまったのか、形の良い結城の唇がうっすらと開く。
「ん…っ、ゲームは…遊びじゃ…ねえ…」
どうやら寝言らしい。
何の夢を見ているのかは分からないが、起きていない事に胸を撫でおろす。
俺は寝ている者を相手に一体何をしているんだ。
必死に理性で抑え込んでいる熱は、どうやらまだ治まりそうにない。
邪な考えをなんとか振り切り立ち上がると、携帯に連絡が来ていた。
数件のメッセージは朝宮と野球部の仲間で、あとは久しく話をしていない母親からの着信履歴だった。
友人達の他愛もない話題に返信をしてから、母親へと電話を掛ける。
「女将、お久しぶりです」
『桐吾さん、お元気にしていましたか。体調は崩されていませんか?』
「はい。お陰様で元気に過ごしています」
『相変わらずで安心しました。益男さんも元気にされていますか?』
そう言われてちらりとベッドで寝ている結城に視線を向ける。
さすがに今隣で寝ているとも、身体を重ねた挙句泣かせてしまったとも言えるはずがない。
「…はい。変わらずに仲良くしています」
『ふふ、進展があったようで何よりです。ところで桐吾さん、冬休みの帰省の予定なんですが――』
相変わらずどこか鋭い母親だが、そういえばもうそんな時期か。
先日中間テストを終えたばかりだと思っていたが、季節はいつの間にか冬に差し掛かる。
来月の期末テストを終えれば、すぐに冬休みだ。
冬休みは学生寮が閉鎖するため実家に帰省せざるを得ないが、さすがに夏休みの時のように結城を連れては帰れないだろう。
それに年末年始は家族と過ごすのが結城にとってもいいはずだ。
2週間ほど会えなくなってしまうのはとても心苦しいが、こればかりは仕方がない。
いつも俺の側にいたいと強請ってくれる愛しい人だが、結城も話せば分かってくれるだろう。
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