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――ありえない。
こんなの嘘だ。絶対に夢だ。
俺の悩みその10。
恋人が浮気をした。
俺の目の前では今、有坂と朝宮さんが仲良さげに話をしている。
一生俺だけしか見ないって言ったのに。
ちゃんと約束したのに。
俺の恋人なのに他の奴と楽しそうに話なんかするな。
早々に絶望に苛まれた三学期。
しかもありえないことに席替えがあって、有坂の席と遠くなった。
それに追い打ちをかけるように有坂は朝宮さんと隣の席で、俺の目の先でイチャイチャしてる姿を目撃して余計に苛立ちが募る。
せっかく恋人になってドキドキしながら学校に来たのに、こんな仕打ちをされたらいくら心の広い俺だって許せない。
「うん、休み明けからメンヘラが絶好調で逆に安心したわ。とりあえず恋人オメデトー」
「メンヘラじゃねーし、全然心が籠ってねえっ」
棒読みで祝われても嬉しくない。
この俺に恋人ができるなんて、ニュース速報でとりあげていいレベルの大事件なんだからもっと喜べ。
冬休み明けのハルヤンは、休み前と何ら変わらずいつものハルヤンだった。
あえて言えば後ろで女子二人が謎の修羅場バトルを繰り広げてたくらいか。
相変わらず最低らしいが、もはや慣れ親しんだ光景なので特に気にしない。
今日は始業式ということで半日で学校は終わりだ。
でも有坂は部活に同好会と顔を出すところが相変わらず多いらしく、あっという間にいなくなってしまった。
おかげで浮気を追求することも出来ない。
そんなわけで暇そうなハルヤンを食堂に誘って、俺と有坂の冬休み中の話を事細かに話してやっていたわけだ。
「まあどうせそのうち付き合うと思ってたからさ。それより俺はありちゃんが予想以上のむっつり男子だったことに驚いてるけどね」
「それは俺も驚いてる」
「いやーありちゃんもいくら淡白そうな真面目男子とはいえ、健全な男子高校生でホッとしたわ」
「…でもそのわりには慣れてる気がするんだよな」
そういえばキスもエロいことするのも、俺ばっかりが戸惑ってる記憶しかない。
有坂はいつもビックリするくらい俺を簡単にヘロヘロにしてみせる。
キスの仕方もちゃんと知ってたし、最後までの仕方も知ってた。
「いやさすがに男とは初めてでしょ」
「――えっ、じゃあ女とはしたことあるのか?」
思わず聞き返す。
ハルヤンはキョトンとした顔で俺を見つめた。
「普通にあるでしょ。ありちゃんモテないわけじゃないし」
俺史上最大の衝撃を受けた。
別に有坂がいろんな奴に頼られて話しかけられまくってるのは知ってるし、モテないとも思わない。
そういえば友達になりたての頃有坂に彼女がいるとかいないとかって話もあったし、まああれは誤解だったわけだけど、でもそこまで深くは考えてなかった。
だけど恋人になった今それを聞くと、めちゃくちゃ居た堪れない気持ちになる。
俺以外の奴と有坂がキスやエロいことをしたなんて絶対に嫌だ。
誰かと話すのだって嫌なのに、そんなの考えられない。
「…うわ、なんかヤバい地雷踏んだ気がする。まあほら、今が幸せなんだから過去に拘る必要ないでしょ」
ドクドクと嫌な心音が鳴り始める。
どう考えても過去に拘る必要ありまくりだ。
有坂が今までどこのどいつと付き合ってどれくらい好きだったのか、まさか俺より甘やかして可愛がったりしたのか今すぐ事細かに聞きたい。
聞きたくない気持ちもあるけど、それでも聞かないと気が済まない気持ちになってくる。
恋人の事は全部知らないといけない決まりだ。
「つーか過去の事より未来じゃないの。一週間程度の別れで死ぬほど寂しがってたらさ、三年なってクラス別々になったらどうすんの?」
「く、クラス替え?あるのか?」
「あるに決まってるよね」
ハルヤンの言葉に大きく目を見開く。
席替えで離れたのだって絶望的に嫌なのに、クラス替えで離ればなれになったりしたらもう俺の人生は終わりだ。
「…お、俺と有坂が別のクラスになるわけないだろ」
「はいはい。現実見ましょうねー」
ハルヤンはそう言って呑気に天ぷらうどんを啜っているが、俺はもう飯が喉を通らなかった。
残していた唐揚げをハルヤンに持ってかれようと、デザートのプリンを取られようと、そんなことより気持ちがどんどん落ち込んでくる。
冬休み中、有坂は帰省してからの時間をほとんど俺に使ってくれた。
ずっと一緒にいて二人きりで、凄く幸せだった。
それこそ俺は有坂にずっとくっ付いていて、たくさん甘やかされて可愛がられてちょっとエロいこともされて、幸せの絶頂だったのに。
新学期になった途端、なんでいきなりこんなに問題がでてくるんだ。
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