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今日も有坂の浮気を目で追いかける。
俺の目には楽しげに二人でキャッキャと笑い合ってる有坂と朝宮さんの姿が映っていて、一体どんな会話をしてるのか気になりすぎて腹立つ。
しかも遊園地の件もあって、二人がくっつけばいいと思ってるクラス連中がウザいほど囃し立てる。
視線を逸らすように頬杖をついて、窓の外を眺める。
誰かを好きになるって、こんなにムカついて気になって胸が苦しくてしょうがないことなのか。
有坂は全然俺の思い通りにならないし、毎日見たくないものを見せつけられて俺の心はもうメタメタに折れまくっている。
それでも昼休みになれば有坂が必ず昼食に誘ってくれる。
他の奴らに何か言われようと、真っすぐに俺のところへ歩いてきてくれる。
胸が熱くなって、その度に気持ちがちょっとだけ回復する。
「昨夜は送れなくてすまなかった。二度と軽率な行動は取らないと反省する」
「…別にいーよ。昨日も電話で謝ってくれただろ」
有坂と部室で弁当を食いながら二人で話をする。
やっと二人きりになれた。
結局昨日はあの後水瀬の腹にグーパン入れて、帰ろうとしたら有坂から電話が掛かって来た。
無事に帰ったかという確認で、俺の事を心配してくれたらしい。
水瀬に負けたことをまだ悔やんでるみたいだったが、あんなの最初から負け試合だ。
反省するなら俺との時間をもっと増やしてほしい。
そう思っているのに、有坂は早々に弁当を食い終えて立ち上がる。
ジャージに着替え始めたから慌ててしまう。
「え、も、もう終わり?」
「昼休みは短い。あまり悠長にしていては練習時間が無くなってしまう」
出会ったころと全く変わらない言葉に、チクリと胸が痛くなる。
俺との時間が無くなる方は別にいいのかよ。
朝宮さんとは一日中話してるくせに、どうして俺には昼休みのちょっとだけしか時間をくれないんだ。
こんなの不公平だ。
恋人になったからって、有坂は全部の時間を俺には使ってくれない。
安定の部活や同好会やら学校行事優先で、もう学校なんかいっそ爆発しろ。
冬休みの最後はずっと二人きりで、俺は有坂にそれこそ一日中ピッタリくっついていた。
有坂も俺をたくさん甘やかして可愛がってくれたから、その反動が今になって重く圧し掛かってくる。
「ま、待って」
あっさりと着替え終わって部室を出て行こうとしたから、追いかけてその手を掴む。
有坂は俺の様子に気付くと、目線を合わせるように少し屈みこんだ。
「…どうした?」
優しい声と視線が向けられる。
胸がギュッと詰まって、苦しくなる。
ドキドキして、顔が熱くなる。
水瀬の厨二病だと思ってたけど、もしかしたら俺は本当に有坂に魔法を掛けられたのかもしれない。
有坂に見つめられると脳が甘く痺れるような感覚に陥って、言いたかった言葉を忘れてしまう。
ただたくさん可愛がって欲しくなる。
ぽーっと有坂を見つめていたら、不意に指先が唇に触れる。
ふにふにと確かめるように触れながら、食い入るような視線が落ちてくる。
有坂の真面目モードがエロモードに切り替わった時みたいな強い視線を向けられて、ビリビリと背筋が震えた。
が、有坂はハッとしたように俺から手を離す。
どことなくバツの悪そうな顔で、首を擦りながら口を開いた。
「…昨夜は水瀬に何もされてないだろうな」
「え?」
「お前は美しい。男の理性を狂わせる魅力を持っている」
「なんだよそれ。別に何も――」
言いながらふと思い出す。
そういや水瀬に手の甲にキスされたな。
思い出すとその感触が妙に生々しく蘇ってくる。
ゾクリと肌が粟立って、有坂を掴んでいた手を離すと隠すように自分の後ろへ持っていく。
「なんだ?何かあるのか」
「な、なんでもないっ」
水瀬の事をチクってやろうかと思ったが、有坂が不機嫌そうに眉を寄せたからとっさにそう返してしまった。
ただでさえ水瀬と有坂は仲が悪いのに、余計に悪くなって有坂がゲー研に行かないって言いだしたら嫌だ。
有坂に言いたいのに言えないことが、少しずつ増えていく。
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