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脱出
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それから数時間後――
リードは貨物船に揺られていた。
いや、優雅に揺られていたわけではなく、それこそ窮屈な荷物と同化していた、と言った方がいいだろう。
リードはこの夜、セルシオ国を抜け出すため、酒場である程度の下調べをし、乗り込む船を絞っていた。そのために船乗り達の会話を盗み聞きしていたのだ。
そして、この船に白羽の矢を立てたのだった。
貨物船だけあり、監視の目は客船より緩い。うまく荷物と一緒に潜り込めたことは、とりあえずリードにとっての第一関門突破だ。こうでもしないと国外脱出は無理なのである。
リードは船底の薄暗い荷物の中から慎重に顔を出し、辺りを確認した後、ゆっくりと身を乗り出した。
なるべく靴音を消し、息を殺して船底の床板に降り立つ。そしてしばらく荷物の陰に身を潜めるのだった。
ところが――
世の中はそんなに甘くはないようで…
リードは船に潜り込めたことに安心しきっていたからか、背後に黒い影が忍び寄っていたことに気づくのが遅れた。
次の瞬間、後ろから誰かの太い腕で首を押さえ込まれ、もう片方の手で口を塞がれてしまったのだった――
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