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人質
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とその時、
「お待ちなさい」
そう言って荒くれ者の男たちの間から割って入るように声を響かせたのは、綺麗な顔をした一人の青年だった。
それほど長くないさらりとした金髪と、青い瞳が印象的な、30ぐらいの背の高い男だ。
しかも男の服装は聖職者…つまり神父の格好をしていた。
「これはこれはフランツ様」
あのラウザがうやうやしく出迎える。
恐らくフランツと呼ばれた神父は、この貨物船の特別なお客様なのだろう。
人垣の間を、フランツはコツコツと靴音を響かせてリードの傍までやって来ると、その場に膝をついた。
「かわいそうに…」
言って、寝転がされているリードの頬にそっと手を這わせた。
リードは目の前の男の端正な顔を、少し警戒しながら見上げる。
その穏やかな顔の下に、何か得体の知れないものを微かに感じ取ったからかもしれない。
次の瞬間、フランツは不意に顔を上げると、ラウザに目を向け言った。
「この青年は私が買いましょう」
周りの男たちがざわめく。
ラウザは少し目を細めたが、
「いいでしょう」
あっさりと快諾したのだった。
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