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怪しい宿屋
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ポルタを見ていると、どうしてもオマリのことを思い出すのだった。
オマリもまた、リードと同じ理由で孤児院で育った一人だ。だが性格はリードとは正反対だった。線の細い容姿はどこか女っぽく、すぐに甘えたがる。しかしそれは、親の愛情を知らずに育ったオマリの寂しさからきていたのかもしれない。
誰かに甘えたかったから…
誰かの温もりが欲しかったから…
だから…
オマリはあんなことを…
リードはまた7年前のオマリとの秘め事を思い出し、チクリと痛む左胸を無意識のうちに押さえるのだった。
それが傷の痛みなのか、オマリを突き放した自分への罪悪感からくる痛みなのか、リードにはよくわからなかった。
またいつものように深みに嵌まり込もうとしていたリードの耳に、ラウザの低い声が上手い具合に響く。
「さあ、もう着くぞ」
その声にハッと我に返ったリードは、頭の中を一掃し、新たな町の匂いを感じ取ろうと船の欄干に身を乗り出した。
その横に、まるで当然のポジションとでも言うようにぴったり寄り添うポルタ。それを肘で無理やり押し退けようとするリードだったが、後々、うやむやのうちにポルタを仲間に入れてしまったことを、死ぬほど後悔する羽目になるとは、この時のリードには知る由もない――。
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