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怪しい宿屋
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サルージの言葉と同時に、後ろにいた強面の男たちが動きを見せる。各々が腰から剣を引き抜き、リードに向けたのだ。
リードも表情を引き締め剣を握り直す。
しかし剣を振るうにしても、この場所では狭すぎる。だがもちろんリードには考えがあった。
次の瞬間――
「行くぞ、ポルタ!」
一言そう叫ぶと、リードは背後の窓に体当たりするように身を投げたのだった。
見開きの窓は容易に開き、2階の高さから勢い良く飛び降りる。前もって話を聞いていたポルタも素早くその後に続く。
サルージは窓から顔を出し舌打ちすると、男たちに顎で指示をする。男たちはすぐにリードたちの後を追って同じくそこから飛び降りた。
狭い通路は町明かりでほのかに照らされ、走り抜けるには困ることはなかった。昼間と違い誰の人影もない。
しかも通路は迷路のように入り組んでいて、逃げるには都合が良かった。
リードは腰に剣を仕舞いながら、あてもなく通路を走り続ける。追ってはすぐそこまで来ていた。
そんな時、リードの目の端にチラリと何かが映り込む。
(金髪――!?)
町の明かりに映し出された人影は、線の細い少年のように見えた。
(オマリっ!?)
脳裏に一瞬面影が蘇る。そして考える間もなく、リードは建物の陰に消えたその人影を追う。
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