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近衛家の柵 < Side近衛
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αである俺、近衛 賢理(このえ たかみち)は、Ωほどの生き辛さはない。
ただ、番のいないαであるとわかるや否や、子種を求めるΩに嫌気がさしていた。
発情期特有のフェロモンを撒き散らし、俺を陥れる。
中には、αの子種を手に入れられれば満足するΩもいる。
上手くいけば、αの子供が生まれるから。
俺と愛を育もうなどと思っちゃいない。
優秀な遺伝子が欲しいだけなんだ。
親が俺に、αと結ばれるコト望んでいることも知っている。
代々α同士で婚姻を結んできた近衛家は、より確率高くαの子孫を残すために、βやΩの血を入れることを嫌悪している。
Ωに誘惑され寝てしまう度に、俺の親が動いていることも知っている。
α同士の俺の両親は、両方とも名家の出だ。
揉めたとしても、多少のとこなら、簡単に握り潰せてしまう。
俺は、年子の5人兄弟の末っ子だった。
…上の兄達は、中学入学と共に行われる第2の性別判定検査で、βだと発覚し、遠縁の親戚に引き取られていった。
俺がαでなかったら、きっと母は、俺をも遠縁の親戚へと引き渡し、再び子を儲けることになっただろう。
……近衛家とは、そんな柵のある家だ。
Ωの中に居る俺の[運命の番]……。
一生出会えないかもしれないが、出会ったとしても、俺は番になることは許されないのだろうし、Ωと番になる気など毛頭ない。
ただ、本能のままにセックスし、子供を宿すだけの繁殖生物を愛することなど、有るわけがない。
愛の無い交わりにも、愛を求めて無意識のうちに削られていく自分の心にも疲れた俺は、学校では、目立たぬように過ごしていた。
ただ、近衛の名前に、二重で吊目の瞳は、勝ち気な雰囲気を醸し出し、ある程度の人間は俺がαであることに気付いているだろう。
この学校に、αは数人。
Ωも何人かは紛れている。
ただ、敢えて、自分がΩだと名乗るヤツなど居ない。
俺は、相手の属性を嗅ぎ分ける程度の感覚は、持っている。
発情期の兆候が表れたΩの傍に寄らなければいいだけの話だ。
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