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心の真ん中にあるもの
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「こいつに触れてるオレのコト、憎くて仕方ないだろ? オレから、こいつを奪い取りたいんだろ?」
神田の唇に這わされる九良の指先。
は……と小さく吐かれる神田の吐息に、先程の焼けつくような痛みの記憶が、背を震わせた。
「ま、奪い取るもなんも、俺、こいつにフラれてんだわ」
オレのもんじゃねぇし…と呟くその顔は、酷く残念そうだった。
ふっと自分を嘲笑うかのような声を零した九良は、くっと片方の口角を上げた。
「ヤることは、ヤったけどな」
わかってるんだろうと言わんばかりの自慢気な顔で俺を見やり、にたりと笑う九良に、ぐっと拳を握り締めた。
Ωは、セックスするコトにより、発情期の怠さや具合の悪さを、緩和することができるらしい。
たぶん、発情期に堪えられなくなった神田の為。
少しでも身体を楽にしてやる為。
九良の纏う雰囲気に、嫌がる神田を手篭めにしたとは、思えなかった。
「お前が傍にいるせいで、発情が激しくなってる。抑制剤で抑えていても、本能は、……暴れる」
唇に触れていた九良の指先が、神田の顎から首へと降りていく。
指先を追うように、九良の視線も滑っていく。
触れるか触れないかの微妙なタッチに、神田は、嫌がるように顔を背けた。
「本能が、…心の真ん中にあるもんが、思ったように操れるわけねぇんだよ」
弛く降りた指先が、神田の胸元を、とんっと突いた。
「お前、多少は疑ってたんだろ?」
言葉尻りに合わせるように、九良の視線が俺を射る。
「こいつが[運命の番]じゃないかって……」
九良の瞳が、再び、神田に向いた。
「こいつは、抑えるコトに必死で、薬のせいで気づけてねぇ」
チッと小さく舌を打った九良は、忌々しそうに俺を見やった。
横たわる神田を叩き起こそうとするように、九良は、視線も向けずに、ぱしぱしとその頬を手の甲で、叩いた。
俺は、我慢の限界を感じた。
ガタッと荒く椅子から立ち上がり、神田の頬を打つその手首を、掴んでいた。
握り潰さんばかりの力量で、九良の手首をギリギリと締め上げる。
「いってぇよっ」
コントロールできない感覚に、九良の手首を掴む力が増す。
「……っ」
九良は、言葉では通じないと感じたのか、俺の脛を軽く蹴上げた。
足の痛みに、俺の手の力が弛む。
微かに出来た隙に、九良は、俺の手の中から逃げていった。
指の跡が赤くなりかけた手首を擦りながら、九良は俺を睨め上げた。
「こいつのコト、本気で欲しいって思ってんだろ?」
刺さるような九良の視線に、俺は瞳を逃がす。
「Ωなんて……っ」
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