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許されないコト < Side神田
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幸せだ……。
感じたことのない幸福感と高揚が、身体中を駆け巡った。
身体中の血が沸騰しているような気がした。
唇に触れる温もりの感触に、はっとする。
ゆるりと薄く開いた瞳。
近距離にあるその顔に、焦点が合わない。
キスされているだろうコトを察しても、目の前の人物を跳ね退けようとは思えない。
逆に、欲望ばかりが、求める気持ちだけが、心を占めていく。
もっと、…もっとして。
そう思うのに、相手が誰なのかも気にかかる。
「ん、……だ、れ?」
僕に触れる唇の感触を堪能するように、小さく啄みながらも、言葉が漏れていた。
声に気づいた相手は、ぺろりと僕の唇を舐め、顔を離した。
僕の瞳に映った顔に、息が詰まった。
それは、生徒だったから。
先日から授業を受け持っている3年の近衛だったから。
目の前が、真っ暗になる。
脳が完全に停止し動けない僕に、近衛が口を開いた。
「先生……、俺、誰か、わかる?」
一言ずつ、区切るように放たれた言葉。
わからないわけが、ない。
目尻が欲情で赤く染まり、発情した雄の顔をした生徒が目の前にいるんだ。
抑制剤は、摂取した。
摂取しすぎた薬に、身体が悲鳴を上げ、倒れただろうコトは、察しがつく。
あんなに飲んだのに。
あんなに気を付けていたのに。
あの薬は、もう、効かない……のか。
「ぁ……、ぁう…」
言葉を発したくとも、声が形を成さない。
焦りに、戸惑いに、脳内が混濁する。
言葉を紡げない僕に、近衛は、ふっと笑った。
「堪んねぇ……」
近衛の手が、僕の頬に触れる。
温かくて、愛しくて。
全身を犯すような、包み込むようなその温もりに、なにも考えずに、浸りたくなる。
でもそれは、許されないコト……。
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