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鳴り響く警報音
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必死になり、顔を背けようとする僕。
その堪らない魅惑から逃れようと、僕は無駄に足掻いた。
「さ、わ……、るなっ」
やっとのことで、拒絶の言葉を放った。
僕に触れる近衛の手が、微かに強張る。
背けようとする顔を、近衛の片手に掴まれ、戻された。
苛立ちを伝えるかのように、触れる指先が、頬に食い込む。
近衛の瞳は、哀しさと悔しさと怒りと……色々な感情が混在して見えた。
微弱に震える近衛の指先。
苛立ちを逃すためなのか。
身体の奥底から沸き上がる欲情を蹴散らすためなのか。
近衛の瞳は、僕をきつく睨めつけている。
僕の顔を掴んでいた手が放され、苛立ちを握り潰すように拳を象る。
「なんで、わかんねぇの?」
苛つく感情が、そのまま流れ込んでくる。
何を求めているのか。
何を察して欲しいのか。
何がわかっていないのか。
何もかにもが、僕にはわからない。
わからないことが、何故か、哀しい。
身体の芯が凍えるように、寒気が充満する。
酷く哀しく、泣きたくなる。
僕の視界は、涙の膜で、ぼやけていく。
許容を越えた涙が、ボロボロと目尻を伝って落ちていく。
零れ落ちる涙に、近衛の顔が近づいた。
優しく僕の目許に触れた唇が、流れる涙を拾っていった。
そっと触れる唇に、その熱に、身体中の血液が沸騰していく。
……でも、ダメ。だめなんだ。
小さく振るう否定する頭。
押し戻そうと上げた両手は、近衛の服をぎゅっと掴んでしまう。
動きを止めようとするように、近衛の指先が、僕の耳裏を擽った。
ぞわぞわっと粟立つ肌に、唇から熱っぽい吐息を零す。
耳の裏から首筋を通り、降りていく近衛の指先。
僕の肌の上を這う近衛の体温。
触れられる部分から、愛しさが溢れ、身体が温かく、…熱くなる。
「我慢、出来んの?」
耳元で囁かれる声にさえ、理性が溶け出していく。
その感触が…、熱いくらいのその温もりが、欲しくして欲しくして、堪らなくなる。
自分の身体の境界線が、わからなくなる。
ただ、触れられているだけなのに、甘く蕩けさせられる。
「俺は、無理だけど……」
ぼそりと吐かれた言葉に、堪らない嬉しさを感じるのに、警報のように打ち鳴らされる心臓の音が僕を追い詰めていく。
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