アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
責任取ってもらえ
-
視線で先を促す僕に、犬養は、ぽつりと単語を放つ。
「噛まれた」
犬養の言葉に、近衛は僕の首筋から顔を上げ、小馬鹿にするように言葉を紡ぐ。
「噛まれたからって、Ωになんてねぇよ。ゾンビや吸血鬼じゃあるまいし……」
「Ωの人に噛まれた訳じゃないよ。く……」
噛まれたときの状況を思い出したのか、犬養は顔を真っ赤にして、俯いてしまった。
「何だよ。照れてねぇで、ちゃんと説明しろよ」
僕の後ろから腕を伸ばした近衛は、俯く犬養の頭をぽんぽんっと叩いた。
その手に感じる愛情が、羨ましくなる。
こんな些細な、友達同士のじゃれあいの延長の接触に、やきもちを妬く自分に、心の中で溜め息を吐いた。
「俺のもんだって言われて……、がぷって…っ………九良せんせぃに…」
意味ないと思ってたんだけど、と呟く犬養は、あまりの恥ずかしさに、耳まで赤く染め上げ、羞恥に震える。
番になるためにαが噛みつく頸。
そこはフェロモンを発する場所で、αに噛まれるコトにより、フェロモンが変化するとも言われている。
変化することにより、発情期が落ち着いたり、αを誘惑するフェロモンが出なくなるとも言われていた。
「逆パターン……?」
ぽろっと零した僕の声に、近衛は、考えが通じていたかのように、言葉を繋ぐ。
「確かに、想汰から、微かにΩのフェロモンは感じてたけど……」
呟く近衛は、驚きながらも、府に落ちた顔をする。
「たまたま、想汰のΩの発覚と噛みつくタイミングが被っただけだと思うけど。……九良、すげぇな」
思わず、近衛の言葉に頷いていた。
「九良に、責任取ってもらえ」
言葉を放ち、僕を乗り越えるように、伸ばした片手で、犬養の頭をわしゃわしゃと混ぜる近衛。
狡い……。
浮かんだ言葉に、僕は小さく首を振るう。
近衛は、僕を抱き締める片腕に力を入れた。
強く抱かれる感触に、自然と近衛に瞳が向いた。
視線の先で近衛は、にやりとした笑みを浮かべていた。
「やきもち?」
近衛の揶揄うような言葉に、僕の顔が赤く染まる。
「や、そんなコトはっ……」
可愛いっ、可愛すぎるっ……と、ボソボソと放たれる近衛の言葉に、恥ずかしさが際立った。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
32 / 224