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穢らわしいΩ < Side神田
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週末、僕は近衛家へと赴いていた。
大きな門の奥に、どんと構える日本家屋。
引き戸である玄関を開けた瞬間に飛んできたのは、近衛の母親の怒号だった。
「帰ってっ!」
家の中へ一歩すら入れまいと、玄関のたたきまで下りてきた母親に叫ばれた。
「待ってよ、母さんっ」
僕と母親の間に入った近衛。
庇うように、僕を自分の背の後ろへと隠す。
「あなたはこの近衛家の跡取りなのよ?」
当たり前のことを言わせるなと、叫ぶ母親は、怒りに顔を赤くする。
「こんな、どこの馬の骨ともわからないとΩとだなんてっ」
苛立ちに吐き捨てられる言葉は、僕を切りつける。
でも、想像していた。
こうなることは、簡単に予測出来ていた。
荒れ狂う母親の姿に、僕は、やはりな…と諦めの表情を浮かべるしかなかった。
「今までだって、私がどれだけ苦労してあなたの無茶を揉み消してきたと思っているのっ?」
金切り声で捲し立てる母親に、近衛も応戦するかのように声を張り上げた。
「俺のせいじゃないっ。この家柄が、αという性が、俺の人生を翻弄していたんじゃないかっ」
怒鳴り合う親子に、僕という存在がその火種だという事実に、近衛を落ち着かせようと手をかけ、一歩前へ出ようとした。
「近づかないでっ!」
母親は、汚いものでも見るかのように顔を顰める。
「純真な賢理を惑わして近衛家に入り込もうだなんて、何て浅ましいのっ」
そんなつもりはない。
だけど、この格式高い家は、僕のコトをなにも知らない子供を騙した悪党としか認識していない。
何を言ったところで、僕の言葉が、母親に通じるとは思えなかった。
母親は、近衛の肩を両手で掴み、正面から見据える。
小さな子供に言い聞かせるように、真剣な眼差しで、母親は声を紡ぐ。
「あなたは、αの女性と番になるのっ。優秀な子供を授かって、この家を繁栄させていくのっ」
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