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とんだ勘違い野郎
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好きだと伝えてから。
オレのもんだと宣言してから。
手中に収めたと思っていたのに。
避けられるってコトは…、犬養は、オレのコト、好きじゃねぇのか?
ほんの小さな疑問は、むくむくと成長し、オレの不安を煽る。
あの時は、ただ単に驚きと恐怖で固まってただけなのか?
オレの告白、断るためにβだからって、口実に使ったのか?
オレを好きだと言ったが、あれは、ただ単に、気迫に押されただけだったのか…、単に、人として好きだということだったのか……。
身体や本能が欲するコトはわかっても、気持ちの奥底なんて、…心の中までなんて、見えやしない。
自分の気持ちを押しきることで、精一杯だったオレは、犬養の言葉の真意を、わかっていなかったのかもしれない…。
あー、オレ、とんだ勘違い野郎じゃねぇか…。
オレの思考は、一番嫌な結論に、綺麗に着地した。
思わず、片手で顔を覆った。
このまま避け続けられても、埒が明かない。
犬養を怯えさせるだけ。
嫌な思いをさせるだけだ。
「あ、お前、犬飼の番号知ってんだろ?」
ふと思いつき、近衛に向けて声を放った。
オレは、犬養の連絡先すら知らない。
恋人のような振る舞いをしておいて、犬養のコトを何も知らない。
「教えろ」
疲れたように強要するオレの言葉に、近衛は、少し考えるような顔をしたが、犬養の番号を教えてくれた。
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