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予想は、ハズレ
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「俺、Ω……だった」
「はぁ?」
俺の言葉に被るように、苛立ったような九良の声が返ってくる。
思わず、その迫力に、萎縮する。
言葉を止めてしまった俺に、電話の向こうで九良が呻いた。
「悪い。そういうつもりじゃない」
わかってる。
乱暴な物言いも、冷たく感じるのも、きっと、不器用なだけ。
「こわ、…くて」
何が? そう聞きたいであろう九良の問い掛けるような雰囲気が電話口から伝わってくる。
「先生にね、頸、噛まれたでしょ?」
ずるずると鼻水を啜りながら、ゆったりと話す俺に、九良は、小さく声を返す。
「ぁあ」
九良の声に、心が震える。
脳が痺れる。
「次の日から、身体が変で……」
ぼそぼそと言葉を紡ぐ俺に、九良は黙って聞いてくれる。
「た…近衛くんが、きっと、先生が俺の[運命の番]だって。だから、傍に寄ったら、直ぐΩだってバレちゃうって……」
尻窄みになる俺の声に、苛立ちが滲む九良の言葉が呼応した。
「Ωだろうが、βだろうが、オレは気にしねぇけど…?」
何を怯えてるんだよ、と一蹴するかのような九良の声。
俺は、小さく息を逃し、言葉を繋いだ。
「……怖くて。自分が、どうなるのか…わかんなくて。どうしていいか、わかんなくて…」
愚図る俺は、ぼそぼそと言い訳染みた言葉を並べる。
「それに、先生、いらないって。番も、子供も……」
言葉にすると、余計に、心を重くした。
番も、子供も欲しくない九良に、俺の存在は疎ましいだけだろう。
「ちげぇよっ」
心を読んだかのような九良の言葉に、俺は、動きを止めた。
「ハズレだ。お前がβなら、それでいいの。お前がΩなら、番も子供も大歓迎だっつーのっ」
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