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オーバーヒートの犬養 < Side九良
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「キスしてくれたら、許してやるよ」
真下から見上げ、にやりと笑うオレ。
犬養は、真っ赤な顔のままで、ぅーっと小さな呻き声を上げた。
「いいよ。許してほしくないって言うんなら……」
ふるふると小さく震えながら、犬養の両手が、オレの頬を包む。
きゅっと目を閉じた犬養の顔が近づいてくる。
見えてなくてちゃんと出来んの?
思うと可笑しくて、オレは、笑いを堪えるのに必死だ。
唇が触れそうになった瞬間。
「ひっ」
犬養の口から、引き攣る音が零れ、上体ががばりと起こされた。
愛しい唇は、オレの身体から遠退いた。
何事かと見やるオレに、犬養は、瞳に涙を浮かべる。
「なんか、も、漏らした……?」
情けない声を発した犬養は、オレの頬から外した手を自分の尻へと回した。
興奮して、濡れてきたってとこか。
「違う、違う」
否定の言葉とともに、泣きそうな頬に触れ、親指で優しく撫でる。
「濡れたの。オレとえっちなコト、したいってコトだろ?」
一瞬、動きを止めた犬養は、目を真ん丸に見開いた後、倒れ込んできた。
オーバーヒートしたようだ。
オレの胸許に、ごつんっと犬養の頭がぶつかる。
衝撃が小さな痛みを生み、瞬間的に息が詰まった。
「っつても、ここでは無理だな~」
息を詰めながらも、言葉を紡ぐ。
がばっと顔を上げた犬養は、殺生だと言わんばかりの表情で、瞳に涙を溜める。
「下に母親いるだろ。ここでは無理だろ」
再びオレの胸に、ごつんと頭を預ける犬養。
小さく、ぅーと唸りながら、葛藤に、ぐりぐりと頭を擦りつける。
「いってぇよ。…オレん家、行く?」
ぴたりと動きを止めた犬養は、顔を上げずに、首を縦に振った。
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