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間違いのない読み
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心の中が釈然としない。
無理強いはしないと言ったって、断れば、オレは職を無くすだろう。
そうなれば、オレは、懐里を養ってなどいけない。
オレに、断る権利など初めから存在していないのだ。
αに固執するのを止めたとは言っていたが、母は、きっと未だに執着があるだろう。
賢理が家を出ることになったのも、Ωの番が出来たからだろう。
例えば、βのオレが近衛家に戻ったとしたら。
オレは、近衛家の血筋だし、なんとか折り合いをつけてくれるとしても、懐里は…、Ωの彼が歓迎されるとは思えない。
それよりもなによりも、きっと懐里はついて来てはくれない。
懐里は、オレのコトなど何とも思っていないから。
好きだという感情を持っているのは、オレだけだ。
ただ、オレが、自分の傍に引き留めているだけ……。
それに、近衛家の柵に、懐里を巻き込みたくもない。
ろくでもないαに傷つけられた懐里を、あの家に連れていくのは……酷だ。
オレが、高校2年の夏に、儚と賢理の事件が起きた。
九良家の親戚関係では足跡を辿られ、居場所がバレると踏んだ玄弥は、オレを頼った。
儚の想いも、わからなくはない。
[運命の番]との婚姻が叶わなくても、相手の遺伝子を持つ子供でもいいから、子を成したい。
儚が、オレを誑かそうとした過去がないわけではない。
でも、βのオレに、儚のフェロモンは通じなかった。
近衛家と疎遠になっている…βだからと弾き出されたオレなら、力になってくれると、運命を踏みにじられた可哀想なΩのために力を貸してくれると、踏んだらしい。
玄弥の読みは、正しかった。
オレは、寮生活を続けながら、何度となく儚の所へと通い、身の回りの世話をしていた。
部活にもなかなか顔を出せなくなり、懐里とも少しだけ距離ができていた。
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