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落ち着く匂い < Side神田
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結局、近衛は、僕の家に住み着いた。
家を出るという言葉通り、近衛家には戻らずに、僕の傍に居る。
無理に家に返しても、たぶん直ぐに戻ってきてしまうだろうと、僕は近衛の行動を黙認している。
……離れたくないと、少しでも一緒に居たいと感じているのも否めない。
シャワーを浴びると、居間でシャツを脱ぎ捨てていった近衛。
脱いであったシャツで口許を覆い、無意識に匂いを嗅いでいた。
脱ぎたてのシャツから匂い立つのは、鼻の奥を擽る近衛の匂い。
落ち着く……。
「なにしてんの?」
ハーフパンツに半裸状態の近衛の声は平坦なのに、僕の背筋は、ぴしりと正された。
「ぁ……そのぉ…」
風呂場に向かったものだと思っていたのだが。
……恥ずかしい。
自分の無意識の行動が、変態染みていて、羞恥が湧く。
言い淀む僕に、近衛は徐に目の前でハーフパンツを脱ぎ始めた。
驚いている僕を尻目に、脱いだハーフパンツを僕に、ぽいっと放った。
ばふっと顔に直撃したハーフパンツを退け、視線を向ける。
「これもいる?」
近衛は、下着のゴムを指で摘まみながら、首を捻った。
「なっ……。早くシャワー浴びてこいっ」
「誘ってんの?」
にやりと笑う近衛の顔に、僕は、言葉を詰まらせる。
「違うっ」
やっと放った裏返る僕の声に、近衛の笑いの音が被る。
羞恥が、許容量を越える。
「先に寝るっ」
苛立ちの混ざる声を放ち、僕は寝室へと足を向けた。
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