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兄からの電話
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普段は素っ気ない神田が、ここまで照れている姿に、堪らない愛情が溢れてくる。
抱き締める腕の力を強め、その首筋に唇を押しつけた。
強く吸いつく俺の唇は、そこに赤い痕を残す。
そのままベッドに引き摺り込もうとしていた俺の耳に、スマートフォンの呼び出し音が響く。
「で、電話っ。鳴ってる」
神田は、自分を囲う俺の腕から、するりと抜け出した。
「ぁっ、こらっ」
逃げた神田を追って、リビングへと足を運ぶ。
鳴っていたのは、リビングのローテーブルの上に置かれていた俺のスマートフォンだった。
神田は、着信の画面を見ながら、不安そうに佇んでいた。
―― 幸兄
「兄貴だよ」
なんの心配も要らないと伝えるように、軽く声を放ち、俺はその電話を取る。
「なんてコトしてくれだんだよっ」
めったに電話など寄越さない兄、幸理からの第一声が、これだ。
「何がだよ」
始まろうとしていた神田との甘い時間を邪魔され、怒鳴られる。
俺がキレても、なんの不思議もない。
「Ωと一緒になりたいからって家、出たんだってな?」
苛立ちのままに放たれる幸理の声に、煽られる。
神田のコトをΩと称するコトにも、腹が立つ。
「何が言いてぇんだよ」
ぶつけられる苛立ちに、不満げな怒声を返した。
瞬間、ぐっと腕が掴まれた。
感触に、視線を向けた俺の視界に映ったのは、叱るような瞳を向ける神田の姿。
これだけの近距離に居たら、電話越しの幸理の言葉は、神田に筒抜けだ。
「とんだとばっちりだ。帰ってこいだなんて…っ」
苛立たしげな幸理の舌打ちの音が耳に届く。
「いいじゃねぇか。近衛の家に戻れるんだから」
神田の怪訝な瞳に、俺は、怒りのボルテージを多少なりとも下げた。
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