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最強の上目遣い
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「じゃ、メッセージよろしく」
オレの声に、幸理は、心苦しそうに言葉を紡ぐ。
「うん、悪いな…」
幸理の申し訳なさげな気持ちを払拭するように、オレは、あえて明るく声を返した。
「気にすんな」
短い言葉を交わし、通話を終了した。
電話を切って直ぐに、名前や住所、キーナンバーのメッセージが送られてきた。
メッセージに目を通すオレに、想汰のジト目突き刺さる。
土曜日の今日、想汰が泊りに来ていたのだ。
「なんだよ?」
きゅっと眉根を寄せれば、想汰の唇が、むぅっと突き出された。
オレは、ソファーに座る想汰の隣に腰を下ろし、その上唇を摘まんだ。
「だから、なんだよ?」
想汰の柔らかな唇を、むにむにしながら、言葉を紡ぐ。
「どっか行くんだよね?」
週末しか一緒にいれないのに…と、想汰は、責めるように声を放ち、膨れっ面で視線を背けた。
「帰ってきたら、なんでも好きなもん作ってやるから」
こんな見た目でも、料理は得意だ。
想汰の柔らかなくせっ毛をわしゃりと撫でる。
瞬間、想汰の瞳がキラリと光る。
「グラタン食べたいっ!」
想汰の言葉に、オレの頬が引き攣った。
ベシャメルソースから、手作りするオレのグラタンは、やたらと手間がかかるのだ。
「……ダメ?」
困ったように眉尻を下げた想汰の上目遣い。
これに勝てるヤツがいるなら会ってみてぇもんだ。
オレは、想汰の頭を再び、わしゃりと撫でた。
「ダメなわけねぇだろ」
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