アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
俺の従姉は < Side犬養
-
「ずぅるぅいぃ~っ」
俺は、ごねた。
また、前に行った人の所で、ご飯を作るらしい。
我慢するべきだって、わかってる。
九良にだって、俺以外と過ごす時間が必要だと思う。
だけど、休みの日しか、こうしてゆっくり一緒に居られないんだから、少しでも傍に居たい。
……俺だって、九良のご飯を食べたい。
ぅーっと、小さく唸る俺に、九良が口を開く。
「一緒に行くか? 幸理も帰ってくるとは言ってたけど、あいつまた居ねぇかもしんねぇし……」
「本当?! 一緒に行っていいの?!」
ワクワクとする気持ちのままに食いつく俺に、九良の大きな手が頭を撫でた。
「お前いた方が、場も和むだろ」
わっしゃわっしゃと力任せに頭を撫でられた。
そんな経緯で訪れた場所で、急に睨まれた。
驚いた俺を、九良は庇うように背に隠す。
覗いたよれよれになった紙には、『今まで、ありがとう』の文字。
家出?
…自殺?!!
俺は、意味もなく、おたおたしてしまう。
「まだ、病み上がりなのに……」
苦しそうに歪む顔。
たぶん、この書き置きだけを残して、懐里という人が出ていったのだろう。
「どっか行きそうな所とかねぇのかよ?」
心配げな九良の声に、その顔は悔しげに歪む。
「親戚関係はいないし、友人もたぶんいない。……全く見当がつかないっ」
この人はきっと、書き置きの主を探すために、ここに居る。
艶ちゃんなら、探せるかも……。
俺の従姉である犬養 艶(いぬかい つや)。
αで、凄腕の探偵だ。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
130 / 224