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嬉しいような、悲しいような
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思わずニヤニヤしてしまう俺を、九良の冷めた瞳が、見下ろしてくる。
「何だよ?」
嫌そうに吐かれる九良の声に、へへっと笑い、言葉を紡ぐ。
「俺、愛されてるなぁって…?」
「うるせぇよっ」
照れを隠すように、九良は、また俺の頭をぐしゃぐしゃに掻き混ぜた。
「ま、今回は、こいつ居る方が、懐里も居心地良いかと思って連れてきたんだけど」
「…助かったよ。君が居てくれて、君の従姉が探してくれて…助かった」
深く頭を下げる幸理に、俺は、身体の前で盛大に手を振るう。
「いやいやいや。そんな大したコトしてないですからっ。てか、俺、なんもしてないですからっ」
おたおたする俺に、頭上からくすくす笑う声がする。
見上げた先の九良の顔は、してやったりと言いたげだ。
「お前がごねて、ついて来てきたから、艶ちゃんだっけ…? その人に探してもらえたんだろ。ごねて正解だったな?」
「ご、……いや、ごねたけど」
ぅうっと唸る俺。
後ろから腕を回した九良は、そのまま俺を、ぎゅっと抱き締めた。
「はぁー、でも、抱っこさせなきゃいけねぇのかぁ」
凄く嫌そうに放たれる声に、何だか申し訳なく思ってしまう。
ブブッと俺が持っているスマートフォンが震えた。
メッセージアプリを開く俺に、九良も幸理も画面を覗く。
そこには、地図が添付され、マンションの裏の通りにある漫画喫茶に目印がついていた。
『ここ。"カイリ"の名前で利用者調べた。42番に居ると思う』
『約束守ってね。破ったら、軟禁するから』
『ねっ』
連続で送られてきたメッセージに、ぶるりと身体が震えた。
艶なら、軟禁も、本当にやりかねない……。
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