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九良の妙案
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「今度はお前が、ヤキモチか? あんまり苛めてると愛想、尽かされるんじゃないか? 運命だって万能じゃないかもしれないぞ?」
冷めた瞳でちらりと九良に視線を向けた幸理は、直ぐに食事を再開する。
「運命は変えられないって言ったのはお前だろうが……」
ケッと、捨てるように息を吐いた九良は、俺を解放する。
俺は、熱くなる頬を両手で挟み、必死に冷やす。
俺を弄ったコトを窘められた九良は、面白くなさそうに話題を変えた。
「家のコト、素直に賢理に言えばいいじゃねぇか。あいつ、意外に、話せば通じると思うけどな?」
九良の言葉に、幸理は、いい顔をしない。
口許にオムライスを運びながらも、苦々しく眉を寄せた。
「何度か話はしたんだ。でも、βのオレが近衛の家に戻れるんだからいいだろって、聞く耳すら持たない……。まぁ、オレ自身も迷ってたってのもあるんだけど」
はぁっと面倒そうに溜め息を吐いた幸理。
「あいつは単に番と一緒に居たいってだけで、家を出たみたいだから、…こっちにしたらいい迷惑って感じだよ」
腹立たしそうに顔を顰める幸理に、懐里は、心配そうな瞳を向ける。
「賢理に継がすにしても、最終的には、お前らの親父と話さねぇとだよな。でも、その前に、賢理の説得が先か……」
疲れたように言葉を紡いだ九良は、話に出た人物を引き合いに出す。
「あいつの番も巻き込むか……」
九良の問いかけに、幸理は、質問を被せた。
「知り合いなのか?」
「あいつの番、オレの同僚で、こいつらの教師」
九良の手が、俺の頭を無造作に、ぽんぽんっと叩いた。
「綺麗な人だよ」
ふんわりとした柔らかな雰囲気と、人目を引く魅惑の持ち主。
神田の印象は、そんな感じだ。
興味無さげな雰囲気で、幸理は、食事を続ける。
懐里は、そんな幸理を横目で気にしながらも、食事を終えた。
「神田も、賢理が家と揉めるの良く思ってねぇみたいだしな。神田から…、あいつの番からの言葉なら、賢理も無下には出来ねぇだろ」
策士の笑みを浮かべた九良も、食事を終え、腰を上げた。
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