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いつか立ち憚る < Side 冬峰
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大事な身体なんだからと、おれは、家に居て欲しいと幸理に頼まれた。
頼まれてしまえば、それを突っぱねることなど、おれには出来ない。
わかったと頷くおれに、1人だと不安だと、幸理の弟を呼び出した本人である犬養も、一緒に留守番をする羽目になってしまった。
「なんか、ごめんな…。過保護にも程がある……」
ソファーに深く座り、ぽつりと声を零した。
少なからず、呆れが混じってしまう。
「愛されてるってコトじゃないですか?」
おれの隣に腰を下ろした犬養は、置いていかれたコトに、不満を述べるわけでもなく、ほわほわと笑っている。
「神田さんって……そんなに、綺麗なの?」
神田を『綺麗な人』と表現した犬養の言葉が、頭の中でぐるぐると回っていた。
弟の[運命の番]である神田に、惚れたりはしないだろうと思うが、心の隅が落ち着かない。
「んー。俺は、綺麗だと思いました。……懐里さんも、綺麗ですよね」
笑顔のままに、おれを見詰めてくる犬養の視線に、胸の奥が、余計にざわつく。
おれより綺麗な人なんて、吐いて捨てるほど居て。
おれと幸理は、運命でもなんでもなくて。
いつか運命が、おれと幸理の間に、立ち憚るんだろうな……。
確約のない未来に、不安が胸をじんわりと侵していく。
「幸理さんって、なんかスマートですよね」
言葉におれは、疑問符の浮かぶ顔を犬養へと向けた。
「品があるっていうか……」
ぼんやりと天井を見上げながら、犬養は、言葉を紡ぐ。
ふわっと顔を桜色に染めた犬養は、慌てて俯き、ぶんぶんと頭を振るう。
「どうしたの?」
犬養の慌てたような姿に、おれは、首を傾げる。
ほんの少しの沈黙の後、犬養が口を開く。
「幸理さんのえっちって……どんな感じなのかなって」
「へ?」
突然の話題の転換に、おれは狼狽え、素っ頓狂な声を放った。
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