アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
意図が見えない縁の言葉
-
縁の家に住み込み、2年の月日が経っていた。
何度か、縁自身が、黒羽製薬所に運ぶことがあった。
帝斗のところへ行った際、縁は、酷く機嫌を損ねて帰って来るコトが多かった。
いつものように、精液の採取をしようと、縁の部屋を訪れる。
手にした香水を振ろうとする私の手首が、荒く掴まれた。
驚きに瞳を向けた私に、縁は無表情で言葉を紡ぐ。
「なぁ。抱いていいか?」
縁の言葉の意図が掴めずに、私は眉根を寄せた。
「1回だけ。…金輪際、お前に手は出さない。この香水を使わずに、お前を抱きたい」
言い切られた言葉に、私は動きを止める。
勃たなければ、役に立たない。
だから、無理矢理に……、香水の力を借り、私というで張りぼてで、興奮を煽っていた。
実物の、何の香りも持たない私では、縁の興奮材料とはならず、役には立たない…はず。
「……っ。私は、女性でもなければ、Ωでもないです」
その役を担って、この家に来たはずなのに。
いざ、面と向かい放たれた言葉に、私は動揺を隠せなかった。
動揺に瞳を游がせる私に、縁は、苛立ちの色を浮かべた。
「だから。孕む心配ないだろ…?」
「私じゃ、勃たな……っ」
ぼふりとベッドへと押し倒された。
重なる身体に、私の腿へと押しつけられる硬い塊。
「俺……、あんたが欲しくて堪んないんだ……」
圧倒的なαのフェロモンに、気圧される。
同じ雄なのに、服従するしか手はなかった。
心臓が奇妙な音を立てて、鳴っていた。
縁に抱かれるコトに、嫌悪はない。
だが、中途半端な自尊心が、羞恥を煽っていた。
そんなもの、疾の昔に消え去ったと思っていたのに、今さら恥ずかしいという概念が私の顔を赤くした。
「恥ずかしがること、ないだろ?」
私に覆い被さり、今更だと呆れたように放たれる声に、きつく瞳を瞑り、顔を背けた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
189 / 224