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気に食わない匂い
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至るところに自分の遺伝子がある。
俺の知らないところに、俺の子が居る。
関係ないと言えば、それまでだ。
だけど、気持ちのいいものではない。
そんな生活を送ってきた俺は、子を成したいとは思わなくなった。
αの俺は、才能に恵まれている。
デイトレードで、生活していくには困らない…、贅沢をしても問題のない金は稼げた。
だけど、人との接点を無くした生活は、性に合わない。
人との接点を保つために、精液を売るコトは、止めなかった。
ただ、自分の手では限界があり、触れられる生身の身体を欲した。
買い手である黒羽が、“お手伝い”と称し、女やΩを派遣してくれた。
黒羽の弱味を握り、優位に立ちたいと考えていた俺。
俺のところに来る女やΩたちは、目の前に大金をひけらかせば、簡単に媚びてきた。
黒羽の内情を、ぺらぺらと語って見せた。
だが、黒羽の立場を揺るがすような有益な情報は得られなかった。
彼らを物のように扱う黒羽に違和を感じていた。
黒羽に買い取られた者でなければ、簡単に逃がすコトが出来た。
孕んで使えない…そう言えば、新しい“お手伝い”が派遣されてきた。
その嘘は、見抜かれていたのかもしれない。
両親を捨ててから1年後に、派遣されてきたのが、那須田だった。
那須田なら、中性的な見た目であり、Ωのフェロモンさえあれば、…【魅惑の香水】さえあれば興奮材料になり得るため、胸がなくとも柔らかくなくとも、…ついていても使えると考えたのだろう。
好んでこの仕事をしているとは思えなかった。
だから俺は、那須田に手を出さなかった。
案の定、那須田の足には黒羽の所有であるコトを示すアンクレットがつけられていた。
いつの頃からか、那須田は黒羽の研究所に行く度に、黒羽の匂いをつけて帰ってくるようになった。
黒羽のコトが好きなのかと思ったが、そんな素振りは一切見せない。
それどころ、嫌悪さえしているような気がした。
ストレートに問うた言葉にも、否定の思いを返される。
ただ、自分は所有物だから、黒羽の意向に添っただけだと宣った。
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