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諭される自分の感情
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「あいつに対して、恋愛感情なんてないよ」
何を言い出したのかと、小馬鹿にするように笑う黒羽に、俺は質問を重ねた。
「憂さ晴らしに抱いてるのか? お前なら、わざわざ那須田を選ぶ必要もないだろ? 見た目も、抱き心地も、もっと良いヤツがいるだろ?」
俺の言葉に、黒羽は笑いを堪えない。
可笑しそうに、くつくつと笑い続けながら、黒羽は言葉を紡ぐ。
「なんで、そんなに拘(こだわ)るんだ?」
俺の矢継早の言葉に、黒羽は、こちらこそ疑問だと言わんばかりに、問うてきた。
「俺のところに派遣されてる者だろ。俺は、お前が好きじゃない。お前の臭いをつけて帰ってくるのが、不快で堪らない」
忌々しげに瞳を背ける俺に、黒羽は、笑いを止め、ふっと鼻を鳴らす。
「不快……ね。随分、絆されたもんだな?」
意地の悪い笑みを口許に乗せた黒羽は、小馬鹿にするような視線を向ける。
絆された?
俺が、那須田に?
言葉の真意を探らんとする俺に、黒羽は、言葉を繋ぐ。
「俺じゃなくても、他のαの匂いをつけてても、お前はムカつくんだろ?」
黒羽の言葉に俺の眉間に、皺が寄る。
αの臭いでも、Ωのフェロモンでも、那須田が知らない香りを纏って帰るのは、いい気がしないだろう。
考えただけで、胸の奥が、じりりと妬ける。
「那須田に惚れてんのは、俺じゃなくてお前だよ。そのイラついてる顔が、本心だろ」
この苛立ちは、…嫉妬、なのか?
俺は、黒羽にヤキモチを妬いているっていうのか?
好きだからこその独占欲だとでもいうのか……?
そんな馬鹿な話があるか。
「あいつは、βで、男だっ」
俺の叫びにも似た声色に、黒羽は、鼻で笑い飛ばした。
「性別なんて関係ねぇんだよ。好きだから、他のαの匂いつけて帰ってくるのが腹立つんだよ」
黒羽は、さも可笑しそうに、くつくつと笑い続けた。
「自分の感情すら、わかんねぇのかよ」
呆れ馬鹿にするように紡がれる言葉に、俺は、反論を紡げなかった。
「あぁ、そうだ」
良いことを思いついたと言わんばかりに、黒羽は、にたりとした笑みを浮かべた。
「お前がここで働くなら、あいつをくれてやるよ?」
黒羽が那須田をも、物扱いしていることに腹が立つ。
「那須田は物じゃない。そういう扱いは、やめろっ」
睨みつける俺に、黒羽は、にたにたとした笑みを崩さない。
「俺があいつを抱くのは、飼い主としての義務みたいなもんだよ。そう躾たからな。…放っておかれるのは、辛いはずだからな」
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