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悩みから逃げるための気の迷い
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黒羽が開発した薬の治験に協力する義務はない。
でも、治験協力という口実でもない限り、俺が黒羽のラボを訪れる理由がない。
俺が赴かないとなると、那須田が届けに行くコトとなる。
それは、那須田が黒羽に抱かれて帰ってくるというコトを意味していた。
そんなのは、……面白くない。
黒羽のラボに行く度に、『そろそろここで働く気になったか?』と問われた。
その言葉は、お前は那須田に惚れているんだと傍から告げられている気分だった。
那須田を解放してしまえば。
俺が黒羽の元で働けば。
この苛立ちと向き合う必要もなくなるのだろうか。
そんな気の迷いだった。
黒羽のラボで働くコトを了承し、那須田のアンクレットの鍵である電磁波を発する小さな黒い箱と、那須田の就職先を手に入れた。
黒羽の元から解放されてしまえば、那須田は困るだろう。
黒羽に買い取られてから、そこでしか働いたことのない那須田は、生活していく力がない。
買われた者としてではなく、黒羽家の仕事に就くという選択肢もあったが、それは気に食わない。
近衛家で雇ってもらえるように、手を回した。
近衛は大手貿易会社であり、黒羽は薬の原料を近衛から仕入れているので、繋がりがあったのだ。
那須田がここに居るのは、主従が成り立っているから。
決して、俺を好きだから、傍に居る訳じゃない。
解放してしまったら、2度と会うコトもないだろう。
最後に1度だけ…、試してみたかった。
俺は、あの香水の力を借りずとも、那須田を抱けるのか。
俺は、那須田に…、惚れているのか。
抱きたいと告げた俺に、那須田は、女性でもΩでもないからと、拒絶を示す。
帝斗には抱かれているクセに……。
その思いは、苛立ちに変わる。
腹立たしさのままに、孕む心配がないと、蔑みの言葉を放っていた。
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