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2日目、下校
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何とか乗りきり、ようやく放課後になった。
あのあと翔汰にめちゃくちゃに質問責めにされた。
ちなみに現在進行形。
「なぁなぁ、なんかされてない?殴られたりとかしてない?」
「されるわけないじゃん、大丈夫」
「でもさぁ、やっぱ心配なんだよ。あいつ、本当にヤバいことで有名だから」
そう言った翔汰はきゅーん、と鳴いた。
あぁ、やっぱり犬なんだなぁ、と場違いに思った。
「あ、そういえばカナタはあいつとよく喋ってるよね」
「そうねぇ、相談に乗ることはあるわよぉ」
カナタはのんびりと答えた。
あの研介が相談するなんて、やはりカナタの包容力は半端じゃないようだ。
そういえば、カナタってどういう字を書くんだろう…………
「………おい」
いきなり声が掛かり、翔汰はびくりと体を揺らした。
見ると何やら不機嫌そうな面持ちの研介が立っていた。
「…………帰るぞ、凛」
「あ、うん」
僕は慌てて鞄をひっつかんだ。
「じゃ、僕行くね」
「え、あぁ…じゃあね」
「バイバイ~」
去り際、翔汰が「気を付けて」と言いたげな顔をしていた。よっぽど心配なのだろう。
やはり歩くのが速い研介を駆け足で追い掛け、隣に並んだ。
「………」
「………」
沈黙が続く。
研介をちらりと見ると、相変わらず表情は読めないものの、どこか不機嫌そうだった。
もしかするとさっきの話が聞こえていたのかも知れない。
「ねぇ」
「………何だよ」
あぁ、やはり不機嫌全開の声色。音楽室のとき、ちょっと仲良くなれた気がしたんだけどな……
「……さっきの話、聞こえてた?」
「……あいつの声はデカイからな」
アッやっぱり聞かれてた!
「なんか……ごめん」
「…別に。慣れてるし」
素っ気なく返された。慣れてるし…って今まで何してきたのだろう。
そこで研介が何かに気がついたように顔をあげた。
「……?…どうかした?」
「…珍しいな。人間だ」
研介の視線を追うと、こちらを見ている人間らしき姿があった。
あれ、どこかで見覚えが……って、
「れ……………恋!?」
「知り合いか?」
恋らしき人物は、こちらに手を振りさっと駆け出して行った。
「あ、おい!!」
僕は慌てて駆け出した。
「凛!!」
後ろから研介の声が聞こえた。
「ごめん研介!!先行ってて!!」
叫ぶように告げ、僕は恋の後を追い掛けた。
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