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片想いの時間 〜近くて遠い3〜
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「まずは見てな?」
拓也が持つ花火に火種がつくと
赤い光と白い煙が上がった。
「おっおー…」
思ったより勢いよく出た花火に一瞬ビクついたが
真っ暗な空間に眩しく光る花火は少し目がチカチカして感動した。
構えてた携帯で写真をとると拓也がそんなに?と笑って同じ花火を渡してくれた。
本当はさり気に拓也の写真が欲しかったりして…
結局はバレるのが怖くて花火をする手しか写せなくてそれでも嬉しかった。
「ヒラヒラにつけんだぞ?
そんな逃げ腰にならなくても熱くねぇよ」
「わぁっついた!すげぇ…綺麗だなぁ」
「蛇花火買ってくれば良かったな」
「おい、いじめっ子!」
「ほれ、どんどんやれ」
「ってか煙ったい」
「風下にいるからだよ
こっちおいで?」
ちょいちょいと手招きをされて
呼ばれて行く犬みたいに拓也の隣りに行くと確かに煙を被らないですんだ。
カッコイイと思っていた拓也の顔が花火に照らされて綺麗だと思った。
オレの目線に気付いた拓也がこっちに振り返る。
いつもなら笑うかさり気なく目をそらすけど
今日は目が離せないでそのまま目があったままだった。
「何?」
「いや…雰囲気が…違うな…って…」
「……」
ちっとも笑ってくれないで花火も消えたのに拓也はじっとオレを見つめる。
いきなり緊張が立ち込めた。
自分の花火も消えて街頭もない公園には花火着火のための小さなロウソクの火だけ
恋人どうしならどうなる?
良い雰囲気になる?
次の花火を早々着けてはしゃぐ?
自分からは何も出来ない動けない
ただ拓也と目が離せないでいた。
暗くて見えなくなった拓也の顔
でもシルエットと気配で分かる。
拓也もオレと同じで目を離さないでいる
キャンプの時とは違う甘い雰囲気じゃなくて気まずい…
消えた花火を持つ手をそのままに
拓也の空いてる手がオレの顔に触れてきた。
触れてきた手はそっと頬に添えられて親指の腹で撫でられる。
黙っていればこの手は離れないでいてくれるだろうか
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