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片想いの時間 ~最初の一歩3~
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まるでボクサーの試合後だ。
服には拭った血が裾を汚していた。
初めてみる人の殴られた痕に一瞬怯む
赤黒いとも真っ赤ともなんとも言えない痣の色
「なにがあったんだよお前!
誰にやられたんだよ!
とにかく病院直ぐに行って診てもらおう!」
「いい…拓のアパートに行きたい」
「よくねぇだろ!早く行くぞ!」
「いいから!頼むよ!」
「言うこと聞け!!」
「嫌だ!!」
腕を強く掴んで車に乗せようとする俺に初めて光は激しく抵抗をし始めた。
腰を引いて動かない光を車に引きずるようにして無理矢理引っ張る
「馬鹿言ってんじゃねぇ!!
警察に電話しなかったのかよ!
病院行って警察に通報するぞ!!」
「嫌だ!頼むから!怒らないで!」
怒鳴り合いながらも掴む俺の手を片方の手で必死に剥がそうとしながら踏ん張って車に乗るのを拒む
あまりの必死ぶりに、俺が折れるしかなかった。
「…….分かった。
氷買ってくるから車に乗ってろ」
お互い必死の攻防で息を上げながら終止がついた。
一人でコンビニに入るとレジの定員が奥から出て来る。
真夜中の駐車場で騒いだのはバレてないみたいだ。
あんな酷い怪我の手当てなんてどうすればいいのかわかんねぇよ…
冷やすことしか思いつかない俺はロックアイスと飲料水だけを買ってすぐ様車に戻った。
助手にちゃんと座っている光に少し安心する。
買ってる間に逃げられたんじゃないかと内心焦った。
「とりあえずこのまま冷やしとけ」
ビニール袋から出したロックアイスを光に渡すと黙って従い目に当てる。
腫れ上がる範囲が広くて当てているロックアイスの袋が丁度いいほどに…
駐車場を出ると同時に膝に置かれてる光の手を握って自分の膝に移動させた。
夏なのに冷たい手
その手が強く握り返してきて
それさえも痛々しく思える。
握りながら親指で光の手の甲を撫でると
掴まれている他の指を強く握り直された。
アパートまでの道も駐車場も誰もいなくて
2人だけの世界同然なのに少しも嬉しくない
何がどうなってるのか分からない
犯罪に巻き込まれたのか
なんで警察にも病院にも行かないで会いに来たのか
気が動転しているせいなのか
光の行動がまっったく理解出来ない。
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