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────⋯⋯鈴の音だ。
高く澄んだ音が、遠くの闇からゆっくりゆっくりとこちらに近づいて来ている。
聞きつけた野次馬連中はこぞって家の窓を開け、表の通りへ好奇の眼差しを向けていた。
花街一番通り。
宵宝山(よいほうやま)から東へ続くこの大通りは、深夜にも関わらずたくさんの灯りと人でごった返す。
特に今日は数ヶ月ぶりの『披露演舞』ともあって、その賑わいは数倍にも増していた。
『宵山の良い酔い方からしばしば歩きなんし、走りなんし。見入りなんし、遊びなんし、虐めなんし、慰めなんし』
披露演舞の列が、ぞろぞろと一番通りを行脚する。
その先頭には、薄い白布を頭から被った少年が、なんとも淫靡な姿で舞の節を口ずさんでいた。
隣の店の二階から顔を出した男が、裸の女二人を両肩に抱き、通りを歩く一行へ侮蔑の表情を浮かべる。
「この花街に、腐れ衆道の店なんぞいらん。花は女の街。あいつらが来てから、ここいらも品が落ちたってもんだ」
男はそう言って上からツバを吐き捨てると、恥もてらいもなく再び女の体を楽しみ始めた。
女はあられもない格好で足を開き、通りから秘部が丸見えでも気にもせず、その男の反り勃つ性器をしゃぶる。
今や国一番の愚かな地、花街。
女も男も真っ昼間から性に明け暮れ、バカでふしだらでどうしようもない人間ばかりが集う街。
古為丹治(こためたんじ)はにっこり笑みを浮かべると、店のドアを開いた。
───昼寝処(ひるねどころ)『Amore』。
西洋気触れのバカな店主が人を商う、この街一番の下衆で美しい衆道の店。
店の前で鈴の音は、ぴたりと止んだ。
披露演舞とは名ばかりの、市中引き回し刑。
歌う少年の後ろで、後ろ手に縄をかけられた紅目の少年が一糸纏わぬ姿でこちらを見上げている。
鈴は、彼の幼い性器の先っぽにちょろんと結ばれていた。
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