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たまにはちょっとだけ優しくしてみる。 球技大会4
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いや、思いっきり寝てしまった。
よだれ垂らしながら金獅子に抱き付いて寝てたとか。
養護教諭に起こされてしまうという何この上ない羞恥プレイ。
にこにこ微笑んでくれたのは救いなのか何なのか。
複雑な心境です。
金獅子は安静なのでもうちょい寝てなさいって先生に言われたので俺だけ保健室から出て来たわけで。
もう昼休みなんですって、それで養護教諭も戻って来たらしい。
金獅子は昼飯は購買とかコンビニとかで買ってるらしく、今日は養護教諭が自分のついでに用意してくれるそうだ。
ビップ待遇ではないか、羨ましい。
廊下を歩きながらスマホを覗くとメールが着てて、森光から勝ったよメール、丹下からは野球出たけどバスケも勝ったメール。
何だかもうムカつくよな、自分運動も得意ですってか?知ってるよ!クソオタクめ顔面にバスケットボール当たって顔腫れろ。
苛々しつつメールの確認を続けるともう一通、朔太郎からもメールが着てて俺の試合も観に来てくださいねーって最後にサッカーボールの絵文字入り。
サッカーに出てるってことでいいのか?
ちゃんと文章にしろボケ。
そう思い、一応何に何時に出るんだかくらい教えろとメールしとく。
観に行くかは別としてな。
それから、森光に電話をするが一向に出る気配がない。さ
何だ今日も女の子とイイトコか。
忌々しげに舌打ちしながら丹下に電話しようとメモリを見てると後ろから抱き付かれた。
「真智~!やっと会えたぁ」
「朝会っただろ、つかお前暑苦しい上に汗臭い離れろ」
言わずもがな彰嗣である。
多分何試合かした後だ、汗臭いに決まってる。
あぁ、むさいぞこの全筋野郎。
離れろ!ともがくけど全く離れる気配はない、むしろ一層抱きしめられてスンスンと首筋やらの匂いをかがれる、犬かお前は。
「真智じゃない奴の匂いがする…」
「お前は犬か、離れろボケ」
「誰の匂い?森光とか丹下じゃないね」
誰だろうなぁこれ?と首を傾げる彰嗣に鳥肌。
何で森光とか丹下の匂いまで覚えてるの?
においフェチなのか?
「誰とかんなの知らねぇよ離れろ馬鹿」
「うーん…香水の匂いだよなこれ…男の香水の匂い…」
スンスンと鼻を鳴らしながら、彰嗣がブツブツ呟いてる。
気持ち悪いし暑苦しいし。
とりあえず左手の人差指を掴んでぐぐっと曲がらない方向に曲げてみる。
関節の軋みが手に伝わって、彰嗣が呻くように声を漏らす。
ちょっとだけ頑張って離れないでいようとしたみたいだけど、一層指を曲げてやったら大袈裟なくらい離れた。
「酷いよ真智、折れたらどーすんのさ」
「とりあえず保健室行くかな」
「そーじゃなくて!…全く、真智はツン全開なんだから…」
それはそれで可愛いけど…と懲りない様子の彰嗣、呆れを通り越してやっぱり呆れる。
本物に面倒くさい奴。
「で、お前は何で俺を探してたわけ?」
「え?あ、そうそう!真智が金獅子と保健室でニャンニャンしてるんじゃないかという噂を聞いて駆け付けてみた」
てへぺろ、とあえて声に出す彰嗣にドン引きである。
古くね?全ての言語が古くね?
マジ引くわ。
「保健室に行く前に会っちゃったけど、ホントに金獅子とイケナイことしてたとかないよね?ずっと保健室いたんでしょ?」
「イケナイことって何だよ、養護教諭に留守番頼まれただけだっつの」
いや、もろ寝てたけど。
めっちゃ金獅子と添い寝状態だったけど。
涎で金獅子の体操着汚したけど。
…言えるわけない。
「…ふぅん、まぁ今回は金獅子悪くないみたいだし、そういうことにしといてあげる」
「お前は一体何様だ」
「真智のステディ様」
「村地君本当に気持ち悪いですやめていただけますか」
「苗字敬語お願いやめて」
こんなおバカほっといて昼飯だ。
とりあえず教室に戻るしかない。
「お前、森光たちに会った?」
「うん、それで真智のこと聞いた」
「あぁ…なるほど」
「森光は女子に集られてたよ、相変わらず真智より女子優先とか節操なし」
「いやそれ至って普通の男子の反応だから」
「いやいや真智のこと好きって言った癖にそれは有り得ないでしょ」
いやいやお前のその思考が有り得ません。
確かに森光は俺のことを好きって言ったしとんでもないことしてくれたけど。
あ、思い出して辛くなってきた。
あの後女子に呼び出されて問い詰められたんだよな…俺がどういうことか聞きたいって言ったら蔑んだ目で罵倒された。
何で俺ばっか…泣きたくなってきた。
「真智、森光ってそんな奴なんだよ、真智に相応しくないよ」
「何で俺と森光がそんな関係になりそうな呈でお前は話してるんだそれこそ有り得ないだろお前とも有り得ないけど」
「最後に俺を否定しないでよそんなこと言われても俺は真智が大好きだけど」
行きつくとこは諦めない彰嗣のしぶとさか。
うんざりしてる俺の顔にニッコリと爽やかに笑いながら、お昼食べようと手を引いて歩き出す彰嗣。
廊下を擦れ違う女子が彰嗣を見てちょっと顔を赤らめたりして。
あー本当に何でこいつモテるんだろ、今日なんてこいつの独壇場みたいなもんだから余計なんだろうな、ムカつくな。
「真智?どうしたの?」
「お前が人気者で本当にムカつく」
「え?」
「…女子にちやほやされやがって、お前も森光と一緒じゃボケ」
手を振り切って半眼で睨んでやれば、きょとんとして、それから顔を真っ赤にして。
何でそんな反応なんだ、気色悪い。
不気味に思ってると彰嗣はちょっと目を潤ませてせっかく振り切った手を握って来た。
「真智、大丈夫だよ俺は真智しか見てないから真智一筋だから!!」
「うん、どういう解釈したかなんとなくわかったけど聞かないでおくから手を離しなさい、俺は女子に嫉妬してないお前に嫉妬してるんだ」
「またまたー照れなくていいってば」
可愛いなぁと頬を緩めながら歩き出す彰嗣に引きずられる俺、可哀想くない?
ご機嫌すぎる彰嗣、ひざ裏でも蹴りつけてやればいいのかもしれないんだけど。
嬉しそうな彰嗣が久しぶりな気がして。
そういえば最近こいつはちょっと寂しげで不安げで。
そう思うとそんなこともできなくて。
教室に着くまでだ。
「…たとえ、女子の視線が突き刺さっても」
ちょっとだけ、我慢してやろうかななんて。
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