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「あの頃からそれはそれは可愛くて…(ry」 ※彰嗣視点の昔話
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俺には幼馴染みがいる。
マチというそれはそれは可愛い幼馴染みだ。
物心ついた頃には好き過ぎて辛い状況だった。
毎日一緒に遊んで、風呂も寝る時も一緒だった。
一緒にいないなんて考えられなかった。
幼稚園に通うようになった頃、それは崩壊した。
まず、幼稚園に行ってクラスが別々だった。
グズグズと泣くのを我慢する可愛い姿を見ても俺たちを引き離す大人たちをどれだけ恨んだ日々だっただろうか。
毎朝泣いて離れたくないと嫌がるのを大人たちを睨みながら振り切る俺の気持ちはきっと想像を絶するはずだ。
そんな気分はロミジュリな俺たちに変化が起きたのは入園から2ヶ月経った頃。
雨がやたら降る毎日にアウトドア派の俺は飽き飽きしクラスを脱走する日々を繰り返していた。
もちろん、マチのクラスに行くために。
しかしながら大人の知恵に所詮園児の俺は敵うはずもなく、最初はうまくできていた脱走も一週間繰り返すうちにクラスを抜け出すことさえ侭ならなくなっていた。
外で遊べない上に俺から幼馴染みまで奪うとか、発狂しろというのか。
先生と対峙すること5日、ようやく俺は包囲網を掻い潜りクラスから抜け出した。
先生が泣き虫の子に駄々こねられてる隙に廊下に面する小さな引き戸から出たのだ。
誰かがあ!と声を上げた気もするが、俺は走った。
幼馴染みの待つクラスまで、振り向かず我武者羅に。
すごく後ろで先生の鬼のような声がするが如何せん韋駄天と言われる俺である、捕まるはずもなく。
あっという間に反対端にあるマチのクラスへ。
堂々とドアを開けて入れば強制連行されるのは明らかだ。
俺は脱走した時と同じく、小さな引き戸をゆっくりと開けた。
園児の騒ぐ声でドアの開かれる音など聞こえない。
小さな隙間を開けて、クラスの中を覗く。
ママゴトをしている奴らが目の前にいた。
マチだった。
愛らしいどんぐりのような目をくりくりさせながら、新聞に見立てているのであろう絵本を開きふんぞり返ってあぐらをかいている。
マチの中でママゴトの父親とはナミヘイさんと教えられているのでナミヘイさんの真似をしているようだ。
偉そうにしていても可愛さが損なわれない辺り流石である。
むしろお母さん役を、いや…俺の奥さん役をして欲しいと同時に思いもしたが。
「アナタ、ゆーはんができましたよ」
「うん、ありがとう」
奥さん役の子に言われて素直に頷くと、本を閉じる。
ありがとうと言ったのはいつもマチのお父さんがお母さんにそういうからだ。
なりきってるつもりでも詰めが甘いとかマジで可愛いと思いませんか。
だから好きなんだよ、ママゴトでも夫婦してる奴どうしてくれようか。
萌える気持ちと憎む気持ちが共存して大変な事になってる俺を他所にママゴト夫婦はイチャイチャと夕飯を食べている。
「今日もお前のご飯は美味しいなぁ」
「アナタの大好きなコロッケ、美味くできてるかしら?」
「美味しいよ、お前が作ったんだから美味しいに決まってるだろ」
「もう、アナタったらぁ~」
何なんだこのラブラブな会話。
周りの保育士止めろ、和んでるな悶えてるな。
ドアを力一杯握り締める俺に誰も気づかないのをいいことに怨念を込めて睨みつける。
相手の奴は長いふわふわの髪の前髪をボンボン付きのゴムで結わえている。
にも関わらず、服は赤いチェック柄の半ズボンと紺のハイソックス、上も紺のポロシャツ、金持ちの子のような格好だ。
多分保育士が面白がって前髪結わえたんだろう。
髪の毛のようにふわふわ笑ってるから違和感ないけど。
「マチくん、大きくなったらボク、マチくんのお嫁さんになる!」
「毎日コロッケ作ってくれるならいいよ!」
「つくるよ!いーっぱいつくる!」
コロッケ毎日とか胸焼けするーとか、保育士のBBAどもそんなことどうでもいいから。
オレにとってゆゆしきじたいだ。
ガタンッとドアが外れて俺はその勢いに任せてクラスに転がり込んだ。
ちょっとおでこをぶつけたがそんなこと気にしてられなかった。
「マチ!マチはオレのお嫁さんになるんだろ!?」
「あ、あきつぐ…っ?!」
「え?え?だぁれ!?」
「マチひどいよ!オレとけっこんするってヤクソクしたじゃーん!!!」
「え、ちょ…えぇ!!?」
きょとんとしてる奴を他所にマチに詰め寄る。
目を白黒させてるマチが、だってママゴト…と呟いてる気もする。
ママゴトだからって約束していいことじゃない、わかってなさすぎる。
保育士、シュラバとか喜ぶな。
「マチはオレのお嫁さんになるんだからお前にはやらないんだからな!」
「やだよ、ボクもマチくんだいすきだもん、負けないもん!」
ふわふわした顔してるくせにきっと俺を懸命に睨む顔はちょっとだけ恐かった。
こいつ、変に迫力あるなぁと思ってると、どうしていいかわからなくなったマチが大泣きした。
泣き顔も可愛すぎる。
保育士、マチ抱きしめるのは俺の役目だ。
そう言ってやろうと思ったら俺のクラスの保育士が来てしまい俵担ぎで連行されてしまった。
それから卒園するまで、俺はふわふわヤローとマチを巡って対決をするのだが、決着はつかないままだった。
僕っ子の女の子かと思えばふわふわ男子だった。
男二人でママゴトしてたとか雨の日とはいえ不思議ではあるがマチ可愛かったからどうでもいい。
そういえば、あのふわふわヤロー名前は何だったっけな…
あのキラキラのつり目碧眼はインパクトあったな。
そうそう、金獅子の目の色みたいな色だった。
ん?金獅子の名前は何だっけ?
あれ、あれ…?
「…まさか、」
これはもしかして、ゆゆしきじたい…か?
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彰嗣視点の昔話。
今の彰嗣が当時を思い出してる感じです。
そして、何かに気づく。
Σ(゚д゚lll)
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