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ーーーーー明らかに場違いだと思った。
キラキラと今にも輝きそうな質の良い造りと、芸術と呼ぶに相応しいデザイン。ど素人な俺から見てもわかるそれは、“高級”ということが一目でわかる旅館。
母さん…ほんとにどんな人と再婚したんだよ…
唖然…どころではない。
あの人と母さんが離婚してから、母さんと優と3人でぎりぎりの生活をしてきた俺にとっては、心臓が口から出て血が吹き出ようとも縁遠い場所。
そんな金持ちしか行けないような“高級”のつく旅館の前に今立っているというこの奇跡に等しい何か。
すでに圧倒されるその見えない迫力に、入るのすら戸惑ってしまう。
だが、ここで止まっているわけもいかず…
椿「よし。優!いくぞ!」
優「うん!」
深呼吸を1回だけして、開けようと手を伸ばす。
その時、
「はぁ?!こないの?なんで!!」
カラカラと音をたてて開く扉。
そして中からは電話を片手に話しながら外へと出てきた学ランを着ている男。
「あれ?もしかして、君たちが再婚相手の子ども?」
通話中にも関わらず、俺たちに話しかけてきた彼はニコニコと笑いながら俺たちを見る。
それはもう…上から下までまじまじと…
「ここ広いから迷うでしょ?オレ案内するから、電話終わるまで待ってて!」
元気に言い放った彼はまた携帯を耳に当て、話し始めた。
▽
しばらくたって通話を終えた彼は俺たちをまたまじまじと見始めた。
「どんな子くるかな〜?って思ってたけど、思ったよりも良い人そうで安心しちゃった!」
おそらく再婚相手の子どもであろう彼。
少しクセのあるクリクリとした色素の薄い髪の毛。どこか外国人を思わせる綺麗な瞳。
世間一般的に言う美形だ。
終始笑顔で話す彼に、緊張が解れた気がした。
椿「…っていうか、なんで再婚相手の子どもだってわかったの?」
スルーしていた疑問。
何人ものお客さんが来る中で、どうしてわかったのだろうか…
「…なんでって…ここ今日はうちが貸し切ったから、オレたち以外は君ら家族しかこないからね!」
……………?!
理解するのに少しだけ時間がほしい。
貸し切り…?
こんな高級旅館を?貸し切り?
そしてもう一度言わせてください。
母さん…一体どんな人と再婚したんだよ……
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