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選ばれちゃいました
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黒服「あなたにはこの案件を頼みたい」
そう言われて渡されたのは、和風の家の写真がついた資料だった。
俺は渡された資料に簡単に目を通し、目の前の黒服の男を見る。
「で?なんで俺はこんな所に連れてこられたの?俺にこの家をどうしろと?」
おっと、説明し忘れてたな。
今日、俺はいつも通りに学校に行ってから家に帰っている途中だった。
まぁ、家って言っても家族いないから寮生活だけどな。
そんなに急ぐことなく、いつも通りのんびり帰っていた。そんな中、急に電話で先生から呼び出しをくらい、学校に戻ってみれば、黒服の奴らに、街の中央にデカデカと建つビルへと連れてこられた。ビルに入ったら、暗くてモニターなどが浮かぶ部屋へと連れてこられた。
浮かぶモニターが不思議で、触ってみようとしたら、映像が映し出されているところはすり抜けてしまったが、キーボードみたいな所には触れた。
黒服「‥‥後の説明は案内人から聞け」
「案内人?あ、ちょっと!」
黒服は、それだけ言って部屋から出ていった。
俺は渡された資料にもう一度目を通す。
「‥‥‥てか、どうしてバレたかな?隠してたのに」
俺は、この場所を知っている。もう掠れていてあまり思い出せないほど昔に、この場所に1回だけきたことがある。
「審神者転移の部屋‥‥か」
この部屋は、《審神者》と呼ばれる《霊力》を持った人間が、《時間遡行軍》と呼ばれる敵と戦うための手段・《刀剣男士》を集める場所《本丸》に行くための部屋だ。
俺が前回この部屋に来たことがある理由は、親の仕事について来て、迷子になって迷い込んでしまったことがあるからだ。
「‥‥あぁー!たく!考えても埒があかねぇー!案内人ってのはまだなのかよ!」
?『ここにおります!』
「!?」
黒服が言っていた案内人の遅さに、イライラし始めて怒鳴ったら、どこからか声が聞こえた。
驚き周りを見渡すが、どこにもそれらしき人影は見えない。
「おい!隠れてないで出てこいよ!」
?『はい。少しお待ちを‥‥よいしょ!」
「!?き、狐!?」
何も無い空中から、俺の目の前に現れた狐は、喋っていたのも驚いたが、俺はそれよりも‥‥。
「案内人って人じゃねーじゃねーか!これじゃ案内《狐》だろ!」
狐「あ、そこなのですね?」
足元にちょこんと座る狐は、流暢な日本語でそうツッコミを入れてきた。
「‥‥‥ド、ドッキリ?ロボット?」
狐「いえ。ドッキリでもロボットでもありません。私は立派な狐であり、貴方様の案内人です。あ、案内狐です。名前はこんのすけです」
狐‥喋る‥案内人‥こんのすけ‥‥‥。
「分かった。頭の整理は出来た。さて、俺はこの資料を渡させた。俺は何をすればいい」
俺は《体質》や《一族》のこともあり、大抵の不思議な事は、整理する時間さえあればなんとでも出来る。今回はそれをフル活動させて、『こんのすけ』と名乗る狐に、先程黒服が教えてくれなかった質問をする。
こん「‥‥‥」
なかなか返事が来ないので不思議に思い、こんのすけを見ると、こんのすけは、俺が持っている資料を見て固まってしまっていた。
「おい。こんのすけ?」
こん「‥‥‥‥‥か?」
「ん?ごめん。聞こえなかった。もう一度お願い」
何かこんのすけが言ったが、全く聞き取れなかったのでもう一度と頼む。
こん「‥‥覚悟はありますか?」
──覚悟があるか──
そう聞かれたのか。
俺は少しの間考える。思い返すのは、家族のことや友達のことではない。思い出すのは──。
「‥‥覚悟がなかったら、今、こうしてこんのすけの前に立ってない」
俺はそう言って笑顔を向ける。
こんのすかは俺を見て、驚いた顔をしたが、すぐに笑った顔を見せ、説明してくれた。
こん「貴方様がする仕事は、《審神者の処罰》と《本丸の維持》です」
「‥‥《審神者の処罰》」
こんのすけが言うには、写真の家は《本丸》らしい。
だが、その《本丸》には問題があり、その本丸の審神者が、とんでもない審神者で、気に入らない刀剣は傷ついても手入れをせず、逆に気に入っている刀剣は私利私欲の為に使っているらしい。
「‥‥‥なぁ、こんのすけ」
こん「‥‥はい」
俺に呼ばれ、ビクッとするこんのすけ。
俺は再度資料に目を落とす。資料は全部埋まっている。そして、そのどれとが、これまでの本丸の《SOSメール》だ。その量は40ページに及ぶ。
「‥‥‥《政府》はどの期間放置してた」
《政府》とは、このビルにある機関のことだ。
こん「‥‥‥‥年‥‥3年‥‥です」
「っ!」
こんのすけは、目を伏せて辛そうにそう言った。
3年!?3年間も政府はこの本丸を無視してきたのか!1ページが1ヶ月分だとしても、多いSOSだ!
「‥‥‥」
俺が持つ資料は、グシャッと音を立て歪んだ。だが、俺の顔はそれ以上に歪んでいるかもしれない。もちろん《怒り》で‥‥だ。
「‥‥こんのすけ。俺を転移させてくれ」
こん「は!お待ちください!身一つでは危険です!今初期刀を──」
「──いらない。いいから今すぐ転移を!」
こんのすけは動きを止め、俺をじっと見つめてから、ため息をついた。
こん「了解しました。ですが、私もついて行きます」
こんのすけはそう言って、俺の肩に飛び乗ってきた。
俺は驚いてこんのすけを見るが、こんのすけはニッコリと微笑ん来た。
「‥‥ははは、分かった。お前のことは守ってやるから、離れるなよ?」
こん「はい!ではいきます!」
こんのすけがそう言ったと思うと、俺の足元は光出した。
こん「‥‥そう言えば、主様の名前はなんなのですか?」
だんだん光が強くなってきた時に、こんのすけにそう聞かれた。
あれ?俺自己紹介してなかったか?ま、いいや。
「俺の名前は《零蘭 煉》(レイラン レン)!審神者名は《黎音》(レイン)だ!」
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