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初期刀(?)
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「‥‥ここか」
目の前が光で真っ白になり、また目の前が見えるようになった時、俺の前には写真の本丸があった。
空気は澱んでおり、無臭なのに息を吸うのも嫌に感じる。
[ガタッ]
「っ!」
玄関の扉に手をかけようとすると、庭の方から音が聞こえた。
俺はすぐに走り出し、影から様子を伺った。
?「ハァハァ‥ハァハァ‥」
そこには縁側に倒れた金髪の青年がいた。
こん「あ、あれは!黎音様!あの方は刀剣男士です!」
「え!助けなきゃ!」
俺は倒れている青年に近づいた。
すぐに熱があるか確認する。
額は暑くなかったが顔色が悪く、息が上がっている。
「おい。大丈夫か?どうした」
?「ハァハァ‥っ!」
声をかけても苦しむだけで、答えてもらえない。
?「‥‥!‥‥‥!」
「っ!‥‥少し我慢しろ」
青年が来たであろう道から、怒鳴り声が聞こえた。
俺はここにいては危険と考え、場所を移すために青年に肩を貸す。
?「あ‥‥っ!」
「どこか痛むのか?我慢してくれ。あそこにいたら、この本丸の審神者が来てしまう可能性があったんだ。処置は移動してからしてやるから、今は我慢してくれ」
こん「こちらです!」
一瞬青年が目を開けてこちらに何か言おうとしていたが、すぐにどこか怪我したのか、痛みで顔を歪めた。
俺は、前を歩くこんのすけについて行く。
しばらくすると、綺麗な桜の下に来た。だが、ここまで来るまでには林を抜けてきたが、その林は枯れていた。
「なんでこの木だけ‥‥っ!今はそんな事後だ!」
一瞬桜の木に見惚れたが、すぐに青年を思い出し、青年を木の根元に横にする。
「こんのすけ。教えてくれ。どうやったら救える」
こん「黎音様の霊力を、この刀剣男士に注ぎ込むのです!大丈夫!黎音様なら出来ます!」
「分かった‥‥ん?」
俺がこんのすけと話していると、服を青年に引っ張られた。
見ると、青年が何やら伝えたそうに口をパクパクとさせている。だか、声を出そうとすると顔を歪めた。
「お前は黙っとけ。今治してやるから‥‥な?」
俺がそう言うと、青年が眉をひそめてこちらを睨んでくる。
俺はそれに気付かないフリをして、青年がここに来るまで抑えていた部分の服をめくる。
「っ!‥‥酷い」
見た瞬間に顔を歪めた。
赤く染った包帯は、もうこれ以上血が吸えないと言っているようだし、その大きさは胸下からズボンの中まで。ハッキリ言うと腹の部分全てが赤かった。
「‥‥ごめん。助けに来るのが遅れて‥‥‥ごめん」
?「っ!」
こん「‥‥黎音様」
俺は腹の真ん中部分に手を添えて、自分の中の霊力を青年に送るようにイメージした。
俺が手を添えると、青年が痛そうにしたので、傷は俺が手の添えた部分なのだろう。
すぐに、手のひらから何か熱いものが青年に入っていくのがわかった。
こん「おお!黎音様!凄いです!傷が塞がっていきます!」
「っ‥‥‥よかった」
十分に霊力を送れたのか、青年の傷は塞がっていた。
というか、予想以上に疲れた。
額をつたう汗が嫌で、そのまま着てきた制服の裾で汗を拭う。
俺は桜の木に寄りかかり、上を見上げた。
ヒラヒラと揺れる桜の花びらはとても綺麗で、何故こんな所にあるのか不思議なくらいだ。
「‥‥綺麗な桜だな」
?「‥‥俺達が育てた」
「!?」
横から声が聞こえた。とても綺麗な声で、こんのすけの声ではなかったので驚いたが、横を見て直ぐに納得した。
「起きて大丈夫か?さっき話そうとして痛がってたけど、話して大丈夫なのか?」
心配で質問攻めにしてしまったが、青年は少し引いただけで、質問には答えてくれた。
?「あぁ‥大丈夫だ‥‥‥何故人間がいる」
青年は、腰にある刀に手を添えてから、そう聞いてきた。
何故‥‥か。
俺は考えてみた。
別に、あの場で理由を聞かずに断ることも出来た。もっと言うと、俺はどちらかと言うとこういう自体を避けてきた方だ。自分からここに居るのは、これまでの自分から考えると、不思議だった。
「‥‥‥‥‥俺は‥‥助けたかったから‥かな?」
?「っ‥‥助けたい‥‥だと?」
確かに、無責任な話だ。
政府は3年にもわたる期間、この本丸のSOSを無視してきた。それを今になっての助けだ。これを無責任と呼ばずなんと呼ぶ。
‥‥でも‥‥‥それでも‥だ。
「今頃になってと責められても。無責任だと罵られても。俺はお前らを助けるよ」
もし、政府が俺を送り込んだ理由が、俺を排除する為だとしても‥‥な。
俺は真っ直ぐに青年を見た。
こんのすけは、俺の横でその様子をオロオロして見ている。
?「‥‥‥分かった。信じよう」
「ほ?いいのか?」
青年は、意外にすんなりと受け入れてくれた。
それに驚きを隠せず、「本当にいいとか」と聞き返してみたが、青年は「いい」と言うだけだった。
ま、信じてもらえるに越したことはない‥‥か。
「よし!話がまとまったところで、この本丸の審神者を断罪しに行くぞ!」
こん「おおー!」
?「お、おい!待て!」
俺とこんのすけが張り切って声を出したところで、青年が俺達を止めた。
「なんだよ。早く断罪しないと、お前みたいな刀剣男士を助けるのが遅れるんだけど?」
?「お前は‥‥‥見たところ剣を持っていないようだが?」
‥‥‥‥。
「‥‥‥見なかったことには〜」
?「無理だな」
俺と答えに、盛大にため息をつく青年。
だってしょうがないだろ!自分でこんのすけにいらないって言ったけど、今は自分でも「やばい」とは感じてるんだからな!
こん「よくぞ言ってくれました!私もここに来る前に行ったのですが、いらないと言われてしまい」
俯き泣き真似までするこんのすけ。
俺は「うっ」と小さく声を出し、一歩後ろに下がった。
?「俺を使え」
「‥‥え!?いいの!?だって‥お前まだ直ったばかりだろ!?」
顔をフードのような布で隠しながら、青年は提案してきた。
山国「いいと言っている。俺はお前の矛になってやる‥‥‥‥後、俺の名前は《お前》ではない。《山姥切国広》だ。‥‥‥何だその目は。写しだというのが気になると?」
青年・《山姥切国広》は、手を差し出して名乗ってくれた。
これは、俺も名乗った方がいいな!
「そんなんじゃねーよ。名乗ってくれたのが嬉しかったんだ。俺の名前は《零蘭 煉》!あ、これ真名な?審神者名は《黎音》だ!」
こん&山国「「!!??!?」」
何故だ。名乗ったら驚かれた。
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