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審神者
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本丸内を進むにつれ、空気が澱んでいるのがわかる。
くそ。霊力が吸われてる気がする。
短刀部屋を出てから、俺の体はどんどん重くなる。目の前が霞んで見えることも、多くなってきた。
こん「黎音様‥‥」
「何?こんのすけ。心配なら大丈夫だよ?」
心配そうなこんのすけに笑顔を向けて、安心させてやる。
嘘だ。実際めちゃくちゃ辛い。
でも、今それを言ったらこの本丸が‥‥。
俺の役目はこの本丸を助けることだ。それなのにこんな所で倒れるわけにわいかない。
山国『‥‥次の角を左に曲がったら、階段がある。それを上がれば審神者の部屋だ』
「了解」
曲がる前に様子を伺うと、確かに階段があった。だか、ここで問題が発生。
「誰かいる」
山国『多分、近侍の刀だ』
「こんのすけ。誰かわかるか?」
こん「はい。分かります。あれは‥‥‥槍の《日本号》です」
黒髪のおじさんは、槍で《日本号》という刀剣男士だった。
日本と書かれた酒の瓶が項垂れている日本号の傍に転がっており、本体であろう槍は、肩に寄りかけている。
あれ‥‥生きてるのか?
人間の姿を維持できていると言うことは、まだ折れてはいないのは分かる。だが、息をしているのかというのは、また違う話だと思う。
槍と戦う時は、一気に間合いを詰めろ‥‥か。
昔教えられた事だが、その時は別に大丈夫だろうと甘く見ていた。だが、実際に槍の長さを見ると、その意味が分かる。
「マンバ。先いって様子見てきてくれ。もし怪我して動けないようだったら、『近侍交代だ』とか言って、槍の中に戻ってもらってこい」
山国「分かった」
マンバが日本号へと近づいていく。
こんのすけと共に気配を消してそれを見守る。
山国「日本号。交代だ」
日本「あぁ?そう‥‥か」
山国「ああ。ゆっくり休め」
日本「はっ。この状態で‥‥どうやって‥休め‥‥‥ってんだよ」
マンバが呼びかけると、日本号は目を覚まし、弱々しい声だが会話をしている。
審神者を倒したらすぐに助けてやるからな。
俺は今すぐに直してやれないことを悔しく思いながらも、気配を消し続ける。
山国「さぁ。部屋に行け」
日本「ああ。‥‥‥そこにいるやつに要件を聞いたら戻るよ」
「っ!バレてたか。いつからだ?」
日本「そこの角に来た時から‥‥だな」
どうやら、日本号は重傷を負いながらも、気配を察知する力だけは残っていたらしい。
俺のことがバレていた事がわかった瞬間に、マンバは俺の目の前に移動してきた。こんのすけは俺の足元にいる。
たく。調子が悪いから戦闘は避けたかったんだがな。
一応山姥切国広に頼らないように、体術の構えを取るが、日本号は一向に構えてこない。
「‥‥なんだ。構えないのか?」
日本「はっ。今の俺にお前らを相手出来るような力は残ってねぇーよ。それに‥‥‥お前の霊力の波長は‥‥心地‥いい」
喋っていた日本号が、だんだんと言葉がゆっくりになっていき、目は今にも寝そうだ。
‥‥‥まさか!
「ダメだ!今助けてやるかしっかりしろ!」
俺はすぐに駆け寄り、日本号の胸らへんに手を添えて、霊力を流し込む。
っ!?さっきの比じゃねー!
山姥切国広に先程の青髪の青年を直した時よりも多くの霊力が、日本号に吸収されていく。
意識が飛びそうになるのを、完治するまで必死に耐える。
日本号「‥‥‥やっぱり‥‥暖かい‥な」
「あんまり喋んな‥‥完治したら寝ていいからそれまで頑張れ」
汗が顔を伝って下に落ちる。
熱い。きつい。だるい。
そんな感情を頑張って乗り越え、日本号を完治させる。
「ふぅ。終わったぞ‥‥後で迎えに来るからそれまで寝てろ」
日本「ああ‥‥頼‥む」
直ったが、これまでの疲労が溜まっていたのか、日本号の瞼は下ろさせていく。
俺はそんな日本号を、寝やすいように横にして、階段を上がっていく。
?『ハハハ!そんなものか!まだまだだ!』
金色の襖の奥から、そんな声が聞こえてくる。
あぁ。うざったい声だな。
決して聞いていて心地いい声ではない声。多分審神者の声だろう。
「‥‥‥山姥切国広。今から切るが‥‥いいのか?」
山国「‥ああ。あんたの命令だからな。俺はあんたの刀だ。あんたの命令に従う」
最後にマンバに確認をとる。
この確認は、マンバは元々‥というか、今現在も一応ここの審神者の刀だ。それを俺が無理矢理使っているだけなので、マンバに「自分の主を今から切るが、いいのか?」という確認だ。
だか、マンバから帰ってきたのは、吹っ切れたとは違う、清々しい声で、俺の刀だという答えだった。
‥‥なんか‥嬉しいもんだな。
俺は自然に笑顔になる顔に喝を入れ、マンバに刀の姿になってもらう。
こん「気おつけてください」
「ああ。行ってくる」
足元いるこんのすけに返事をし、襖を開けた。
「審神者!覚悟!」
審神「な!」
俺は迷いなく審神者の首元に斬りかかり、首をはねた。
呆気ないな。
それは審神者を斬った俺の感想だ。
審神者に選ばれた者だから、もっと力を持っているかとも思っていたのだが、その予想は裏切られた。
「‥‥臭いな」
部屋にはイカのような臭いが充満していた。
不快なその臭いを入れ替えるために、窓を全開にする。
?「あ‥‥う‥‥‥お前‥‥は?」
「え?‥うわぁ!ちょ!今助けるから話はその後で!」
不意に声が聞こえたので、そちらを向くと、そこには裸の白髪の青年とピンク髪の青年がいた。
2人はおしりの穴に現世で見た事のある、バイブと呼ばれる物を入れていた。
俺は2人のおしりの穴からそれをゆっくりと取り出し、すぐに近くにあったゴミ箱へと投げ捨てた。
「おい!しっかりしろ!」
?「あぅ!‥‥今‥触‥‥らない‥‥‥で、下さ‥い」
?「ハハ‥‥驚‥‥‥いた‥な」
2人共息が上がっているし顔は赤いが、見たところ怪我らしい怪我もないし、着ている物が赤く染ったりはしていない。
「マンバ!どこか休める所を確保してくれ!ああ!出来るだけ風通しのいい所な!こんのすけはマンバについて行ってくれ!」
山国「分かった!」
こん「わかりました!」
2人に休む所を探してもらっている間に、俺はこの人達を直す作業だ。
「見たところ怪我はないけど、今から直す。疲労は回復しないと思うから、合図を出したら寝ていい。それまでは意識保っててくれ」
??「「あ‥‥‥っ!?」」
2人の胸元に手を添えて、霊力を流し込む。
怪我がないからか、霊力はあまり取られなかったが、何故か俺の中から霊力が先程と同じ量が取られていく。
っ!飛びそう。
?「ぁう!ハァハァ」
?「っ!ハァハァ」
霊力を流し込んでいる最中に、何か飛んだ気がしたが、集中していて何が飛んだかは分からなかった。
あと‥すこ‥‥し。
もう少しで終わると言う所で、俺の意識が限界を訴えてきた。
根性でそれを耐え、終わった瞬間に俺の意識は飛んだ。
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