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こりゃあ驚きだぜ
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「お?日本号。来れたのか。傷は大丈夫か?」
日本「ああ。おかげさんでな。この通りだ」
戻ってきたマンバは、日本号と一緒だった。
日本号はとてもラフな格好で、白のタンクトップに灰色ジャージのズボンとセットの上着を腰にまいている格好だった。
多分何かものを運ぶ仕事か何かしていたのだろう。
日本「あらためて自己紹介させてくれ。日の本一の槍こと、日本号。只今推参。あんた、俺が来るまで何杯飲んだんだ?」
「ははは。日の本一の槍か!カッコイイな!それ!後、俺はまだ成人してないから酒は飲めないんだ」
日本「そりゃあ残念だ」
話を聞くと今の時間帯は、丁度本家の方でもご飯の時間だったらしい。
日本「ほらほら。病み上がりの坊ちゃんは大人しくしとけ。俺が食べさせてやるよ」
「大丈夫だって。俺は完全に回復したんだからよ。というか、俺『坊ちゃん』っていう歳じゃないっての!もう16だ!」
日本「なんだ。まだまだガキじゃねぇーか」
「う〜」
マンバがご飯を取りに行っている間に、こんのすけにこの本丸の刀の資料を見せてもらったが、日本号は460歳ぐらいだった。
確かに、日本号から見たら俺はまだまだひよこのような歳だ。
でも、男が男に世にゆう「あーん」をしてもらう図はどうなのだろうか。
[グゥ〜]
考えていると、部屋に俺の腹の音が響いた。
日本「クックックッ‥ほら。口開けろ」
「ちくしょー覚えてろよ〜?」
笑っている日本号をジト目で見ながら、俺は差し出されたお粥を食べた。
「うっま!なんだこれ!日本号!もう一口!早く!」
日本「はいはい」
予想以上に美味かったお粥は、本家にいる刀剣男士が作ったものらしい。
マジか。こんな美味いもんをこの本丸の奴らはいつでも食べれるのか。
「ふらやましいな〜」モグモグ
山国「口の物が無くなってから喋ろ」
「ふぁ〜い」
マンバに注意されてしまったが、俺は気にせずご飯を食べた。
日本「ほら。最後だ」
「え、最後?」
夢中で食べていたせいか、気づいたらお粥は、無くなっていた。
寂しさを感じながらも、俺は最後のお粥を口に含んだ。
‥‥‥美味い。
「ごちそうさまでした」
こん「そういえば黎音様。今後の事なのですが──」
ご飯を食べ終え、その後はこんのすけと今後の話をし、マンバと日本号も交えて世間話をした。
?「‥‥!あ‥‥‥‥ろ!」
「ん?なんだ?」
急に廊下が騒がしくなってきた。
日本号が様子を見てくると言って、廊下に出て行ったが、数分たっても戻ってくる気配もないし、声も変わらず微かに聞こえてくる。
「‥‥‥俺も行くか。よいしょっと」
山国「あんたはここにいろ。俺が見てくる」
こん「山姥切国広の言う通りです!黎音様!」
2人に猛反対されたが、俺はそれを「大丈夫だ」と押し切って、マンバの案内で廊下に出て進む。
?「だからさっきから言っているでしょう!私はこれを届けに来ただけだと!」
日本「だったら今ここで俺に渡せばいいだろ?なんで奥まで行く必要があるんだって言ってんだろ?」
?「まぁまぁ。2人共喧嘩は良くないぜ?笑顔で話し合いだ‥な?」
廊下を進んだ突き当たりを左に曲がると、本家とこの離れを繋ぐ通路があり、そこには日本号と紫の着物の青年と気絶する前に見た白髪の青年がいた。
俺は白髪の青年を見た瞬間に走り出し、白髪の青年の体を触り始めた。
?「お?なんだ?あ、あんたは──」
「──怪我は?どこも痛くないか?あんなことがあったんだ。トラウマになってもおかしくない‥‥‥あ、体の中がいなかったりしないか?大丈夫か?こんのすけに休んでるとは聞いてたけど、もう起きて大丈夫なのか?あのピンク髪の長髪の奴はどうした。一緒じゃないのか?まさかまだ痛い所があるのか?だったら連れてってくれ!今すぐ直してやらないと!」
俺は気になっていたことを一気に問いただした。
が、すぐに日本号に羽交い締めにされて止められた。
日本「どうどう。坊ちゃん。そんなに質問攻めにしてやんなって。どっちも病み上がりみたいなもんだろ?」
「うっ‥‥‥ごめんなさい」
?「あ、いや大丈夫だ‥‥こりゃあ驚きだぜ。俺達の主はべっぴんさんだ」ボソッ
素直に謝ると、何故か日本号と白髪の青年が顔を真っ赤にした。
まさか熱かと思ったが、すぐに赤くなくなったので俺の見間違いだろう。
鶴丸「コホン‥‥よ!鶴丸国永だ。俺みたいのが突然来て驚いたか?」
「正直言って、来たことに驚いたのもだけど、起き上がって歩いても何も言われてないことに羨望を隠せないよ」
鶴丸「それはそれは。想像以上に驚いてもらえて嬉しいぜ」
日本号に降ろしてもらう俺に、鶴丸は自己紹介をすませ、手をこちらに差し出してきたので、その手を握り返した。
鶴丸は全身真っ白で、確かに鶴と言う名前が似合っていた。だが、性格がいい性格しているみたいだ。
?「ああ!あなたが私達を救ってくれた新たな主なのですね!」
「おう!?」
ついさっき日本号に降ろしてもらったのに、俺はまた床から足が離れてしまった。
俺を抱き上げたのは、紫の着物の青年だった。
へし「へし切長谷部、と言います。主命とあらば、何でもこなしますよ‥‥‥ああ!会いたかった!我が主!」
「おぉおぉ!回さないでくれないか〜!?」
長谷部は俺に会えたことがそんなに嬉しいのか、俺を高い高いしたまま、ぐるぐると回りだした。
目が回り出した時になって、やっと俺は救出された。
山国「へし切長谷部!主を離せ!そいつは今起き上がったばかりなのだぞ!」
へし「あぁ!すみません!主に会えたことが嬉しくて‥つい」
「あ、いや大丈夫。たまになら今みたいにしてもいいから」
俺は目が回ってフラフラしながらもそう答え、長谷部の頭を撫でた。
長谷部の顔は一気に赤くなって、目までウルウルとさせ始めた。
へし「我が主‥‥寛大なお心に感謝いたします」
「はは。そんなにかしこまらなくても大丈夫だよ。それより、なんであんなに言い争ってたんだ?」
2人の名前を覚え仲良くなったところで、俺は言い争っていた原因を聞いてみた。
へし「は!そうでした!主!本当は彼奴の着物など捨ててしまいたいのですが、今この本丸にある余っている着物がこれしかなく‥‥」
そう言って長谷部が差し出してきたのは、剣道着のような服で、上は白で下は青だった。
‥‥今更だけど、今の俺の格好。普段着としては可笑しいもんな。
今の格好は、白い幽霊が着てそうな服だ。
俺が来ていた制服はどうしたのだろう。あとで聞いてみるか。
「長谷部ありがとな。前審神者の物なのはしょうがない。だって、俺なんの知らせもなしに来て、前審神者を倒したし、その後は俺の霊力を吸った本丸の機能が急にフル回転しだして、大変だったんだろ?大丈夫だ」
俺は笑顔を長谷部に向け、少しでも長谷部が困った顔にならないようにした。
へし「っ!‥‥はい」
長谷部の顔が緩み、とてもいい笑顔になったので俺は満足し、 部屋に戻って着替えることにした。
「ほらほら。まだ本家の方では片付けとか終わってないんだろ?さっさとお前らは戻れ」
俺は、離れから追い出すようにしてマンバ・日本号・鶴丸・長谷部の背中を押した。
山国「な!俺はまだここに──」
「──俺はもう大丈夫だから。何かあったらこんのすけも近くに居るし。な?」
こん「はい!お供します!」ドヤッ
山国「くっ!」
足元にいたこんのすけが俺の肩に来た途端に、マンバが何やら悔しそうにしたが、何かあったのだろうか。
へし「あ、主」
最後に、長谷部がこちらを捨てられそうな子犬のような目をして見てきたが、俺はそれを笑顔で見送る。
「さて、部屋に戻るか」
こん「はい!」
こんのすけを肩に乗せ、起きた部屋まで戻る。
先程起きたばかりで寝る気にもならなかったので、外を見ようと外と繋がっている障子を開けた。
?「っ!」
「お?お前は‥‥」
障子を開けると、そこには、柿をいっぱい持った青髪の小さな男の子がいた。
顔に傷があったので、まだ手入れ部屋に入れていないのだろう。
霊力も回復しているので直してやろうと手を伸ばすと、男の子はビクッとして1歩引いてしまった。
怖いか。
怖がるのも無理はない。この男の子には見覚えがある。確か、短刀部屋で折れた姿から直した子だ。1度人間に折られたのだから、同じ人間の俺を怖がるのも無理はない。
名前は確か‥‥‥。
「‥‥小夜左文字くん‥だよね?」
小夜「っ‥‥」コク
怖がりながらも反応を返してくれるあたり、嫌われてはいないらしい。
それに少しホッとしながら、俺はしゃがんで目線を合わせる。
「大丈夫だよ?殴ったり叩いたりしないから。顔の傷。それ直してあげるからこっちにおいで」
小夜「‥‥‥」
ダメ‥か。
警戒を解こうとしない小夜に、俺は項垂れてしまった。
どうやって傷を直すだけだと分かってもらえるかわからない。
俺は頭をひねって考える。
小夜「‥‥‥ありがとう」
「へ?あ、ちょっと待って!」
小夜が何か言ったと思ったら、そのまま持っていた柿を縁側において、本家の方へと走っていってしまった。
「‥‥‥行っちゃった」
少し寂しく感じながらも、俺は小夜が置いていった柿を1つ食べてみた。
「‥‥‥うっま」
柿はこれまで食べたどんな柿よりも甘く美味しかった。
早く本家の方に行きたいな。
俺は縁側に座り、小夜が持ってきた柿を頬張りながら、まだ見ぬ本家の刀剣男士達に思いを馳せた。
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