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不服
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今日の稽古は案の定、終始雰囲気が最悪だった。
紅の指導に従わない者、雨音の様に紫音を無視する者、また両者に媚を売る者。
そして、俺と音葉の様に傍観する者。
きっと、紅には紅なりの考えがあるはずだ。
だからそれが言えるようになる日までただ待つしかないと、傍観する者の大半がわかっていた。
「言いたい事があるんだろ?あるやつは残れ」
稽古の終わりに、紅は全体にそう言った。
音葉にどうするかと視線を送れば、音葉はただ「帰ろう」とだけ言って、荷物をまとめた。
「音葉」
「ん?」
「紫音とは、初対面?」
あの紅と紫音の距離の近さ、信頼関係を見る感じ、最近知り合ったようには思えなかった。
紅と昔から付き合いのある音葉なら、何か知っているかもしれない。
「んー、うん。初めて」
違和感。
何がおかしいのかと聞かれても、ハッキリとは答えられないが、音葉は何か隠している気がした。
知られてはいけない何かを。
「そうか…どう思う?」
「紫音の事?紅の事?」
「両方」
「仕方ないと思う。」
「仕方ない?」
「うん。紅の事だから、絶対に悪い方には行かないよ。絶対」
音葉の神経質な性格を考えると、とても悲観するだろうと覚悟していた。
だけど、紅を絶対的に信用しているからか、意外にもダメージは少なかった様だ。
「脚本、書かなきゃだから、急いで帰ろう!」
「そうだな」
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