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異常1
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「雨音」
「あ、おはようございます」
雨音に話さないといけないことがある。
共有のキッチンで、紅専用の高級茶葉の緑茶を何の躊躇いもなく淹れている雨音に、声を掛けた。
「おはよう。紅、どうだ?」
「盗聴、切られました。」
え…待てよ。
「切られたって事は、気づかれてるのか?」
「はい。俺がここに入った時に仕掛けて、それから1時間もしないうちに気づかれました。でも特にお咎め無しで、『好きに監視しろ』って言われたので、そのままです」
盗聴に気づいていたのに、なぜ紅は切らなかった。
完璧に隠したいなら、絶対に盗聴を切るはずだ。
何事にも真面目で、完璧主義な紅が切り忘れる何て考えられない。
「まてまて」
「はい?」
「知ってるのにラブホで盗聴切らなかったって事は、紅さんは今何が起きてるのか知って欲しかったんじゃないか?」
「あ……」
雨音も、そこまで気が回らなかったらしい。
急須から出る緑茶は、湯飲みから溢れ、流れ出る。
「あっ、ちょっバカ!」
「すみません」
「いや、良いけどよ… それより、音葉なんだけど具合悪くて今日動けなさそう」
紫音が絡み始めてから、日に日に音葉の体調が悪化している。
元々環境の変化等のストレスに弱い為、今回もそれだと思いたいが、何だか心がざわざわする。
「まぁ、今日は演者の皆さんは休みですし、問題は無いのでは?」
「俺、衣装部に顔出さないといけないから、側に居てやれない」
実は俺は演者より、衣装部の部長という大きな役割を担っている。
主に紅とデザインをし、パターンを引いて、形にする。演者の採寸に試着、微調整。
脚本を兼任している音葉に比べれば、仕事量は全く足元にも及ばないのだが、正直かなり忙しい。
「俺も今日は照明と音響のリハがあって…あ、部屋に鍵、つけても良いですか?」
「鍵?元からついてるだろ?」
「あれヘアピン使えば外から簡単に開けられるじゃないですか」
「まぁ、たしかに」
「ちょっと待っててください」
雨音は小走りで自室に戻り、何かを手にして戻ってきた。
「連さん達の部屋、入ってもいいですか?」
「あぁ、」
部屋に入った雨音は、何か鍵の様なものを内側から扉に取り付ける。
「鍵?」
「はい。内側からしか開閉ができない鍵です」
大体想像ができるから、なんでそんな鍵を持ってるかは聞かないでおこう。
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