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異常4
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当たり前だが、この劇団は一昨年まで赤字経営だった。
それでも、紅は他の舞台に出たり雑誌でモデルをし、音葉は他舞台の舞台脚本やコラムを書き、時には演出まで行い、雨音は舞台音響のアルバイトをしながら、生活費や劇団の資金を生み出してどうにかやってきた。
それは俺も例外ではなく、某ファッションブランドにパタンナーとして席を置いていた。
劇団の人気に火が着いたのは、去年の初め。
紅が名の知れた舞台の主演に抜擢された頃だ。
それから若い女性の観覧者が増えた。
公演内容が内容なだけに、一度で終わった人も多いが、小さな劇場が満席になるが、チケットは比較的取りやすいといういい感じに動員できるようになった。
現在は演者が5人、衣装部が4人、舞台音響・照明等が4人。
足りない部分はアルバイトで補っている。
特に演者は、毎回経験を積みたいという若者に稽古300円、出演200円を支払って貰い、出演してもらっている。
「おはようございます!」
衣装部のアルバイトの子がやってきた。
この子はまだ19歳。
だが、ここで働きはじめてもう3年目になる。
「おはよう」
「今日もまたかなりついてますね…」
付箋をピラピラさせながら、若干引きぎみに言う。
「うわぁ…この生地取り扱ってる所、”ばんどら”しか無いですよ…」
”ばんどら”とは店舗は少ないものの、充実した品ぞろえでよくお世話になっている手芸用品店だ。
ただその店長が癖のある人なうえに車でも2時間はかかってしまう為、皆買い出しに行きたがらない。
「紅の指示は?」
「絶対… 在庫は?」
「無いな」
「……俺買い出し行きます。ばんどらだったら…今回の生地、殆ど手に入ると思いますし」
「俺も行こうか?」
「大丈夫です!連さん忙しいでしょうし、俺車持ってますから!」
「ごめんな、頼む。連絡はいつものように頼む。」
「了解です!!」
「気をつけて運転しろよ!」
「はい!!」
積極的に動くし、元気があっていいが、たまに逆にそこが心配になる。
頑張りすぎないといいが。
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