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嵐の前の静けさ
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音葉の脚本削除事件、雨音の骨折から約2週間が経過した。
数日前から紅は急にアパートに帰ってくるようになり、紫音も大人しくしているようだ。
幸い音葉の体調も良い。
だが、音葉の腕の痣を見たにも関わらず顔色一つ変えなかった紅を目の当たりにした時、つい殴りかかろうとしてしまい、音葉に止められてから俺と紅との壁が確実に高く、厚くなったような気がする。
「おはよう!」
音葉は今日も体調が良さそうだ。
朝誰よりも早く起きて全員分の朝食を作っているのがその証拠だ。
「おはよう」
「お茶漬け、鮭?海苔?梅?」
「海苔で」
「はーい」
お茶漬けなんてインスタントでも良いのに、全部一から作るのが、音葉の凄いところ。
なんでもこだわって、自分を貫くところが、大好きだ。
「そう言えば、きのう珍しく寝言凄かった」
「嘘…何て言ってた?」
「暴いてやる…暴いてやるって言ってたよ」
「まじか、眠れなかっただろ?ごめんな」
「いや、大丈夫。すぐにぐっすり。……はい、どうぞ~」
「ありがとう。いただきます」
特に夢を見ていた覚えは無いが、きっと紫音に関する寝言だろう。
「紅はまだ?」
「あぁ、先に行くって言って一時間前に出た。雨音ちゃんは多分まだ部屋に居るよ。顔会わせてない」
「そっか」
「なんで?」
「いや、何でもない。」
音葉は嘘つきと言わんばかりにこちらを睨む。
「衣装の話」
「へー」
当然だが信じてもらえない。
「今日夜は外食しよう」
少し間を置いて、珍しく音葉から夕食の誘いが。
行きたい、行きたいが、今回は本当にタイミングが悪かった。
「ごめん、今日徹夜」
「えー、まぁ…仕方ない。手伝おうか?」
音葉は俺が入る前、衣装も担当していた。
基礎は十分身に付いている。
本当に多才な恋人。
「初日近いから早く寝てくださーい。気持ちだけ頂戴します。」
「わかった。無理しないでね」
「音葉もね」
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