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緊急事態1
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公演初日、度重なる徹夜によりコンタクトレンズが入れられない程眼精疲労が酷く、仕方なく眼鏡姿でチケットをもぎる。
隣のレーンでは衣装部の19歳アルバイト君が元気にチケットをもぎっている。
一緒に徹夜していたのに、何で元気なんだ。
あぁ、若いからか。若いってずるいな。
「連さん眼鏡似合ってます!」
「ありがとう」
観客の女性に愛想笑いで感謝を述べる。
「連さんクマできてますよ!大丈夫ですか!?」
「大丈夫、心配してくれてありがとう」
知ってくれて、気にかけてくれる人が居ることはありがたい。
だがこういうのは本当に苦手だ。
「連さん!変わります!」
毎回列の整理をしてくれているアルバイトスタッフが、こちらに駆け寄ってきた。
本当にありがたい。
列に並び、こちらに手を振っている観客に手を振り返して、笑顔で立ち去る。
疲れた。もうだめだ。気合い入れて注入してきたレッ○ブルが切れる。
ふらふらしながら舞台裏の階段を下る。
衣装チェックに戻ろうとすると、誰かに腕を強く引かれ空き部屋に押し込まれた。
「静かに」
腕を引いたのは、雨音だった。
雨音の顔に似合わない男らしい手によって、口を塞がれる。
「耳、澄ましてください」
言われるがまま耳を澄ますと、隣の紅の楽屋から紫音の声が聞こえる。
「お前はいつもいつもあいつの事ばっかり!!そんなに大事か!いい加減目覚ませよ!」
「もうやめてくれ、紫音がやめてくれたら、終わる話だろ…」
紅の弱気で、泣きそうな声を初めて聞いた。
「殴れよ…それで気が済むなら俺は構わない。だから、音葉にはっ」
乾いた音が響いた。
「そういう所を言ってんだよ!」
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