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第2章 14
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こうも大河が激昂した訳は、信之が意図せず口走ってしまった『本家』というキーワードが原因である事は明らかだったーー。
僕と結婚する前の話になるのだが、
もともと、大河は『桜庭家』という由緒正しい華族の名門。
本家の跡取り息子という、かなり高貴な生い立ちであった。
『桜庭家』と言えば誰もが知る有名なお家柄であり、ザ上流階級。と言ったふうな庶民からすれば雲の上の存在といえよう。
そんな名家の御曹司様と、庶民中の庶民の綾人との出会いは、当時、綾人の実家で営む花屋に舞い込んで来た、一本の電話から始まったーーーー。
◇
その日は、いつものように綾人が実家で営む花屋の店番をしていると、店の奥からドタドタと、
普段では考えられないような慌てようで、綾人の父である猛が、コードレスの受話器を片手に
「綾人っ!デッカい仕事が入ったっ!手伝ってくれっ」
と、
話している手間すら惜しいと言わんばかりに、何の説明もなく、店に並んだいくつもの花を種類ごとに手早く纏めると、いつもの配達に使うミニバンのトランクに急いで積むのを手伝わされた。
全ての荷物を詰め終わった猛が、車の運転席のドアを開けたタイミングで、綾人へと顔を向けると、
「綾人も一緒に来てくれっ、」
と、言い放った後は、こちらの返事も聞かず、車に乗り込んですぐに、いそいそと車のエンジンをかけたのが分かった。
えぇー、
この後友達と遊びに行く予定あったのにぃー、
と、若干不満に思いつつも、仕事の手伝いとなれば仕方がないかと、観念して、
綾人もお馴染みのミニバンの助手席に乗り込む。
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