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第3章 2
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必死の形相で、言葉をつむいでみたが、綾人の表情を見た父は、
それは無い。のだと。途中で言葉をつまらせた。
「ーーそうか…。アルファだったか…。」
落胆した様子の父に、綾人はまた目頭が熱くなると同時に、父に頭を下げる。
「…っ、ごめっ、んなさいっ…!ごめんなさいっ!父さん…っ、」
ぼろ、ぼろ、と泣き崩れる綾人の様子に、猛は座っていた椅子から立ち上がると。綾人に近づき、震えて冷たくなったその手を両手で優しく包み込む。
「綾人…、その子、お腹の子…産むのか…?」
ーー産みたいか…?僕は…、そう…、
ーーーー…産みたい…、
ーーーーそう、産みたいのだ。自分は、
この子を産みたいと思っている…。
オメガはアルファの子を身籠れるーー。
それは世界の常識であり、綾人の非常識だった。
確かにオメガは身籠れるのだ。
しかし、それは人生で『たった一度きり』という言葉が付いて回る。
正確に言えば、
オメガはアルファの子を身籠れる。しかし、生涯ただ一人だけ。
絶対にそれ以上孕めない。という訳では無いと言われているが、実際二人目からは途端に身籠り辛く、二人目の子を産んだオメガはほぼ存在しない。
だからオメガもアルファも人口が少ないし、一人のオメガが産める子供の数も決まっている。
なので、上流階級の家では、一人のアルファに対し、正室と、妾のオメガがいる家が殆どらしいが
跡目争いなどが勃発するので、妾の数も少なく。せいぜい居ても一人か、二人だとか。
ーーだからアルファはやたらめったら複数のオメガと交わる事はしない。
ーーきっと僕の腹の子も、知られれば邪魔だとばかりに始末されてしまうだろう。
ーそれか、子供だけ取り上げられるか
ーーそんなのは嫌だっ!!!
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